猪狩くん、顔が赤いですよ

猪狩くん。何ひとりで赤くなってるんですか?

なに? 僕は赤くなんか無いって?

いやいや、鏡貸そうか。

めちゃくちゃ顔赤いよ。

ん?「お前もだろ。」って。

いやいやいやいや、違いますよ。

私は断固として違います。

照れてなんかないですよ。

「表情がころころ変わっておもしろい。」ってなんですか。

そんなことわたしレベルの可愛さの女子に言っていいと思ってるんですか。

もう、笑わないでください。

怒りますよ。

まぁ、猪狩くんなら許してあげないこともなくもなくもないですけどね。

ん?なんか、良いこと思いついたって顔してますけど何をおもいついたんですか。

私が百面相みたい?

そんだけ!?

なんだよ〜。もっと、いいことかと思ったのに〜。

猪狩くん。なんですか?

もう一回言ってください。

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜。

私が、百面相妖怪ですって。

なんですか。なんですかそれ?

妖怪って。

泣きますよ。

え〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

え〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

ほら、こんなにも可愛い女の子が泣いてますよ。

さっさと慰めてください。

ほら、遅いですよ。

10秒ルールって知らないの?

女の子が泣いてたら、10秒たつ前に慰めなきゃいけないっていうルールだよ。

ふ〜ん。その反応知らないんだ。

そんなんで王子様を名乗っていいと思ってるの?

だめでしょ?

え?「僕は王子様を名乗って無い。」だって。

名乗ったじゃん。

名乗ってたよ。

覚えてないの。

始めてあった時に言ってたじゃん。

ううん。人違いじゃない。

だって、絶対猪狩くんだもん。

私、写真もってるよ。

見る?

ちょっと待ってね。

スマホ出すから。

ガサゴソガサゴソ ガサゴソガサゴソ ガサゴソガサゴソ ガサゴソガサゴソ ガサゴソガサゴソ ガサゴソガサゴソ ガサゴソガサゴソ ガサゴソガサゴソ ガサゴソ

あった。

あ、そうだ。

私のパスワード知ってる?

私のパスワードは1100なんだ。

なんでかって?聞いちゃう。

猪狩くんの下の名前って一斗でしょ。

で、一の1、斗は10って漢字だととおって書くでしょ?

それで、パスワードは四桁だからなんとくなくなのかな?わかんないけど最後は0にしたんだ。

だから、1100なんだ。

覚えてるかな?覚えてないか。

これも、猪狩くんが決めてんだよ。

あ、あった。

ほら、これ。

これ猪狩くんでしょ?

この頃は可愛かったな〜〜。

今はかっこいいけどね。

ね、ほら。

あってたでしょ?

猪狩くん、思い出してくれたかな?

私のこと。

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