第4話

「あ、分かったぞ!」

 博士が叫んだ。鉛筆を持って白紙に向かい、さらさらと機械の設計図を書いていく。

「できた!」

 それを助手に見せ、博士は胸を張った。

「これは、大量の隕石を呼ぶ装置なのだ。ふはは、今度こそ世界は滅びるぞ」

「隕石が大量に降ると、具体的にどうなるんですか?」

 助手が疑問を投げかけてくる。

「隕石が大量に降るとだな、巨大津波が起きて、地上には粉塵も舞い上がり、太陽の光を遮断する。硫酸の雨が降り注ぎ、世界が滅びるのだ」

「うーん……」

 助手は浮かない顔をする。

「それって、僕たちも大変な事になりませんか? 苦しいのとか、痛いのとかは嫌なんですけど」

「ふむ……」

 助手の言う事ももっともだ。

「私も、苦痛にさらされるのはごめんだからね。この案は却下だな」

 博士は溜息をつき、設計図を放り投げる。

 宙に舞ったそれは、助手の手の中に舞い降りた。

「博士、前にも言いましたけど、今は紙も貴重なんです。電子で設計図を作ればいいじゃないですか。立体にもなるし、その方が便利では?」

「分かってないなぁ、助手君は。設計図は、実際に手で紙に描いた方が、アイデアが浮かんでくるだろ?」

「全く分かりませんが」

「そうか……」

 見解の相違というやつだな、と呟き、博士はまた白紙に向かうのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る