ゾンビパンデミック


 僕は昔から、ゾンビパンデミックの夢をたまに見る。小さい頃からバイオハザードをやっていた影響だと思う。


 今回の夢では線路もないところにファンタジー電車が突然走ってきたりしたけれど、その辺は割愛。ゾンビは徒党を組み、なかなかの知性を持ったタイプだった。

 なんやかんや(あまり細かくは覚えていない)あって、でっかいショッピングモールか何かの青空駐車場で人間対ゾンビの決戦。重火器はないけど戦争っぽささえあった。

 鉄パイプだのバットだの、お決まりの近接武器を携えた人間サイド。対するゾンビは知性があるとはいえ、所詮ゾンビということで素手。


 決戦の内容はあまり覚えていないけれど、人間サイドが大した損害無しに勝利した。世にいるすべてのゾンビが相手ってわけではないけれど。


 戦いが終わって皆の気持ちも落ち着いてきた頃、ふと気付いた。左手の中指にある小さな傷。思えばこれは、どこかに引っ掛けたようなものではない。ゾンビにやられた……気がする。確証というか確信はなかったけれど、何かやられたタイミングがあった気がした。

「これ、多分ゾンビにやられたやつ」

 共に生き延びた両親に伝える。二人は、言葉ではあらわせない顔をしていた。

 どうしよう。ワンチャンどっかに引っ掛けただけだったりしないかな。

 そう思っているうちに、左手に緑色の血管が浮き始めた。それはもう、ボディービルダーの体に浮く血管の倍くらいに膨れ上がって。しかも血流が凄すぎるのか、露骨に脈打っている。そこの描写だけ妙にリアルだったのは、ゴア表現の強い映画やゲームが好きだからかも。でも自分の体となると、かなりキモい。

「あー、駄目だこれ」

 自死を選ぶ度胸はなく、そしてそれ以上に残す言葉も思い浮かばず。背を向けて両親から離れる。

 夢だとは気付いていなかったけれど、僕はなぜだか冷静だった。

 冷静ついでにおならをしようとしたら、そこそこの湿り気を帯びた実がそこそこの量出た。 

 パンツにせき止められる糞の、これまた妙にリアルな感触に「うわぁ」となる。せめて、こんな時に、ビビったわけでもないのにうんこを漏らした、なんてことはバレたくない。


 そう思ったら、起きた。

 うんこは漏れてなかった。

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夢日記 新木稟陽 @Jupppon

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