魔法入試試験 アルスside

観客の大歓声で、フィールド内に地響きを感じたのと同時に魔法師達は一斉に魔法を披露し始める。


中には剣、格闘技を合わせた魔法を披露するものもいる。

もちろん、試験なので剣はレプリカを借りるのだが使い勝手が悪い。


アルスも剣を抜くなり、向かってくる者を討ち取り。まるで、社交ダンスをしているような軽い身のこなしで交わしていく。


白く美しいマントを被った アルスは観客席からも、かなり目立っていたのだろう。

その華麗なる様は観客を惹き付けた。


『そろそろ…ー。』


500人から半分ほど魔方師が減ったところで、アルスは動きを止め 剣(レプリカ)を地面に突き刺すと、辺り一面に雪の結晶がキラキラと広がり、熱気に満ちた会場が、一気に冷気に包まれた。


「氷の魔法師!?」「おいっ…!氷の魔法師が来ているぞ!!」


「うるさい人間達ですねー」

文句を言いながら、アルスのフードから顔をひょこっとだしたのは、氷のように美しい見た目の小さな竜だ。

「殺して良いですかね?」

「…ダメだよ。それより、特大魔法で終わらしたいのだけど…頼める?」

「アルスの頼みなら手伝いますよぉー♪」


竜は、アルスの前に出ると、身体を氷の鱗を纏わせるように結晶を吸収しながら空へ飛び立ち上空へ舞い上がった。


「天空に舞う結晶よ…」

アルスの一言と共に、竜は「ヴォオオオオォオオォォォ」と雄叫びをあげ、氷の鋭い鱗を地面へ突き落とした。


砂煙が落ち着くと視界には倒れた魔法師達がいた。

観客達は静まり返っていた。

最初に声をあげたのは、アンジュちゃんだった。


「なっ…なんと言うことでしょう!?氷の魔法師が試験へ参加してることにも驚きですが…!魔法の威力を見せつけてきました!これは、ポイントが高いです!」


『アンジュちゃん…意外と仕事できる奴だった…』

「あの アンジュって人間。ただの 馬鹿かと思ってました。氷の魔方師と知れば差別でもすると思ったのに」

『…。』


「アンジュは兎に角。私は驚きですよ。アルスとの魔法を防いだ奴が1人…この会場にいるなんて」

竜は、ため息をつき不満げな顔をみせた。


「うん。凄いね。でも、試験合格は間違いないだろうから問題ないかな…。」


目をやった先には、炎を纏った男が1人立っていた。

アルスと目を合わすなり、ニッコリと笑顔をみせた。

「スゲー魔法だな!俺は、トウマ!よろしくな!!」

「まぁ…試験といえど、男なら半端で終わるのもつまらねぇよな。俺とお前、どっちが先に倒れるか…勝負しようぜ!」


「うわー!やるわけないじゃないですか!試験合格は決まったようなものですよ!面倒ですよね!アルス!」


「面倒…。だけど、トウマ…面白そうだね。僕の魔法防いだんだ…。」

「もうもう!アルスの気分屋!でも、そこも好きですよ!」


アルスは、フードをとり真っ直ぐとトウマをみる。


アンジュは、アルスの顔を見るなり「はわわわわっっっ…」と赤面した。

「氷の魔法師!美形です!アンジュは惚れてしまいそうです!はぁ~🖤睨んだ目元も素敵…。

氷の魔法を防いだ火の魔法師もワイルドなかっこよさ!二人の魔法でアンジュは痛め付けられたい🖤」

アンジュは、ハッと我にかえるなり、ヨダレを拭きながら実況を始める。

「さっ…さぁ!すでに、2人の合格は決まったも同然なのですが、このまま2人のバトルを楽しみましょう!」


「あの人間。やっぱり馬鹿でしたね…。アルス…トウマって人間、殺したら駄目ですからね?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る