第49話
「おかえりー何だったの?」
教室に戻ると立花とタクが話してて、戻ってきた俺に立花が話し掛けてくる。
「あーなんか、男に絡まれてた時に助けたんだけど、そのお礼がしたいってさ」
それを聞いた立花は
「そんな漫画みたいな事あるんだ、それにしてもあんな美人にお礼をねぇ」
若干怒ったような顔でこちらを見てくる。
「まあ、今回は断ったけども…」
だってなぁもう一人居たのにそっちは声すら掛けてないし。
「はあ!?なんで断ったんだよ!あんな美人に俺達がお礼される事なんてこの後一生無いだろ!」
タクがめちゃくちゃ驚いてる。
「いや、お礼は嬉しいんだけどさ、二人でって話だったから…」
「え?男の人なら二人っきりの方が嬉しいんじゃないの?」
立花も驚いてる。
普通美人に二人っきりなんて言われたら嬉しいよな。てか、俺も普通に嬉しいが、どうしてもタクの扱いに違和感が拭えなかった。
「そりゃ嬉しいが、あの場にはタクも居たんだぞ?それなのに俺だけっておかしくないか?まるでタクは居なかったみたいな…」
俺が感じた違和感をそのまま口にする。
一回感じてしまったら、我慢出来なかった。
「いやいや、コウお前!俺の事何て別に良いだろ!あんな美人に二人で食事に行きましょうなんて、俺達にはもうこの後一生無いぞ!?」
「おい、一生無いは言い過ぎだろ?タクには無いかもしれないけど俺にはあるだろ。それに、このくらいで無くなる出会いなら別にいらねーよ」
出会いは一期一会だ。
それに今俺は立花が…
「ふーん!へー!格好いいじゃんコウ!流石あたしの友達!でも女の子はちょっと可哀想かなぁ勇気出して誘ったんだろうし」
さっきとは変わってご機嫌の立花。
何処に機嫌が良くなる要素があるのかは、わからなかったが立花が笑ってくれるならそれでよし!
「一応連絡先は交換したから完全に切れた訳じゃ無いが…こんな神経質な説教臭い奴なんてあっちから願い下げだろうしな?」
自分でも面倒臭い性格してると思うがこればっかりは変えられない。
「じゃあ今日は期末お疲れ会とコウ失恋慰め会だな!」
「おいタク、期末は良いが別に俺は失恋してねーよ!恋すら始まって無いからな?」
そう言いながら立花をチラチラ見てしまう。はぁ…始まらないんだよなぁ。
「うおおおおおおお!俺の歌を聞けええええええええ!」
お疲れ会はカラオケでやることに決まった。それにしてもタクがうるせー。
「コウお疲れ。前の女の子に振られたんだって?」
「は?誰からそんな事を…タク以外いねーな…振られてねーし、どうにもなってねーよ」
王子に変なこと吹き込みやがって…
「やっぱりね?奥手のコウにしてはあまりにも行動が早すぎると思ったし」
まあ、王子は信じてなかったみたいだけどな!つーか俺って奥手なの?
「なんで俺が奥手だって思ってんだよ。すげー肉食系かもしれないだろ?」
自分で言ってて悲しいが奥手だとは認めたく…ない!
「あはは、肉食系だったら好きな人が近くに来た時飛び退いたりしないよ」
グッ!……そりゃバレてるよな。
「いや、まあその…」
俺がしどろもどろになっていると
「あぁごめんねコウ、別に茶化すつもりも無いし誰にも言ったりしないから」
王子が申し訳なさそうに言ってくる。
いえ、こちらが申し訳無いです…。
「いや、そりゃわかるよな。……どう思う?」
「ん?美咲は分かんないけど、僕は応援してるよ?いつでも頼ってくれて良いからさ」
「はぁ…持つべきものは頼れる親友だな…もう一人なんて……」
「うええええい!アリーナああああ!盛り上がってるかあああああ!」
一人コンサートやってるし…。
「それじゃみんなお疲れ!あたし達この後買い物行くから!ここで解散かな?」
「そうだね、コウとタクはどうする?僕はまだ時間あるけど?」
「あーめっちゃ歌ったから喉渇いたしどっかで何か食いながら駄弁ろうぜ?」
「あーすまん、俺はこの後ジムに顔出すから」
「そっか、じゃあタクと二人でファミレスでも行こうかな」
「おっけー!ドリンクバー全部混ぜようぜ!このドリンクバーマスターの俺とどっちが上手いドリンク作れるか勝負な!」
「あんまりやりすぎて店員さんに怒られないようにしようね?それじゃ、美咲達、次は海かな?後で連絡するね。コウもジム行ってらっしゃい」
王子はタクとファミレスか。
「バイバーイ!海楽しみにしてるからー!」
「私も、友達と海に行くの初めてだから…」
「私も海楽しみにしてるわ、三人共お疲れ様」
そして各々解散していった。
しかし、会長がわざわざ呼び出すとかなんだろうな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます