第28話
「は?なに?」
頭が混乱してる。なんだドMって。いや、ドM自体の意味はわかるが何故に春川はそんな事を今告白するんだ?
あれ?これドッキリか?
冗談で言ってるのか…なんだよ。びっくりした。
ビシッ!
立花からチョップのツッコミが入る。
春川もボケたりするんだな。
「そんなんじゃ伝わらないでしょ!」
こんな場面でボケるとは思わなかったから一瞬フリーズしてしまった。
「あぁ、本当にビックリした。春川さんもこんな冗談…」
「痛いよみーちゃん!もっと強く叩いて!」
冗談じゃなかったあああああ!!
「え?ほんとうの話?てかみーちゃんって…?」
「あーほら!コウが混乱してんじゃん。麻衣が話さないならあたしが話すよ?」
あ?麻衣?なんだ?下の名前呼び?
「もう!みーちゃん!昔みたいに、はるちゃんって呼んでよ!」
「はあ~、もう良いから。麻衣は黙ってて」
呆れたように息を吐きながら春川に注意する立花。もう訳が分からん。
「ごめんね、コウ。麻衣が自分で言うって言ってたから任せたけど、あたしが説明するね」
「た、頼むわ。正直意味が分からん」
「えーっとまずね、麻衣とあたしは小さい頃からの幼馴染なの。本当にずーっと一緒」
そうなのか、付き合いは長いと…。
「みーちゃん呼びは中学校位までは呼ばせてたけどやっぱ高校生になって、ちゃん呼びはあたしも恥ずかしいし辞めさせたの」
「そうなのか、でも立花さん呼びはさすがに他人行儀過ぎないか?」
みーちゃんからいきなり立花さんって呼び方変わりすぎだろ。
「別に大したことじゃないんだけどさ、高校に入って、みーちゃん呼びは止めてって伝えたら麻衣が凄く嫌がってさ」
幼馴染と距離が離れる感じがして、嫌だったのかもな。
「みーちゃんって呼んじゃダメならこれからは立花さんって他人みたいに呼ぶからね!とか言い出してあたしは変にみーちゃんって呼ばれなきゃ良かったからokしたんだよね」
立花自体呼び方はあんまり気にしなそうだしな。
「なんか、みーちゃん呼びに凄いこだわりがあるらしくてさー結局みーちゃんって呼べないなら立花さんで良いって事になっただけ」
あだ名へのこだわり…わかる。
「それであたしだけ麻衣って呼ぶのもなーって感じで春川って学校では呼んでる。結局二人の時はみーちゃんって呼ばれてるから、麻衣ってあたしも呼んでるみたいな。本当に大した理由じゃないよー」
まあ、二人の関係だし突っ込む必要もないか。
「じゃあパシらせたりとかは何だったんだ?」
けれど疑問は尽きない。
幼馴染で仲が良いならパシらせたりしないだろ?普通。
「麻衣、別に言って良いでしょ?元はと言えばあんたが悪いんだし」
「はい……」
バツが悪そうな顔で同意する春川。
「あのね、麻衣はあたしに借金があんの」
「へ?借金?」
おいおい、穏やかじゃないぞ。
「多分十万位あるはず。スマホ見ないと正確な金額は、わかんないけどねー」
この二人大丈夫か?
「いやいや、十万も何に使ったんだよ。金額が、でかすぎるだろ!?」
普通の高校生が十万円も貸し借りするなんてかなり異常じゃないか?
「さっきさ、麻衣がドMって言ってたの覚えてる?」
忘れられるわけねーだろ。
「あぁ…」
「なんかそれの趣味?で色々欲しかったんだって。変な本とかグッズ?とか買ってて…」
「鞭田M太郎先生の本は変な本何かじゃないよ!!!」
誰だよ鞭田M太郎……
「麻衣はうるさいから黙ってて。それでさ、あたしはモデルの仕事もしてるし、その辺の高校生よりは、お金持ってるからちょっとずつ貸してたら結構な金額になってさー」
そんなに色んな物買ってるのか春川…
「麻衣はバイトもしてないしあたしは別に返さなくても良いよって言ったんだけど、どうしても返したいって言うから購買のパン一回買ってくる毎に千円金額引いてんの」
「じゃああれは春川の借金返済って事なのか?でも購買のパンって一個百円位だろ?釣り合い取れて無くないか?」
「まーそうだね。あたしは別に返して貰わなくても良かったしさー麻衣はあたしに借金してることがあたしに縛られてるみたいで嬉しいとか、キモい事言うから早く返し終わって貰いたいかなぁ」
「じゃあ、前に春川がお金…って言ってた時のあれは何だったんだ?」
借金返済ならお金…何て言わなくないか?
「あの時かー何でお金って言ってたかはね、何か変な本の新しいのが出るからお金出したくなかっただけなんだよ」
はい、春川がくずでした。
「それはどうなんだ…春川…借金してる相手に…」
「でも!みだらな蝋燭先生の新刊がどうしても欲しくて……」
なんだよ。みだらな蝋燭って……
「この際だからさ、気になった所全部聞いてよ。コウになら話せるよ?あたし」
もしかして、立花ってめちゃくちゃ良い奴なのでは?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます