第24話

「おーいコウ!お疲れ!」


 タクが話し掛けてくる。


「お疲れタク。お前の応援も効いたぜ!」


「ははは、そりゃ良かった!それより、もうタクって呼んでくれんのか?昔の事は…」


「もう許した。この話終わりな!マジで久しぶりに疲れたわー!」


「おう!最後の追い上げヤバかったな!一瞬飛んでたぞお前」


「飛びはしてねーだろ。その位の勢いはあったかもしれんけどなぁ」


 タクは結構大袈裟だからなぁ。


「いやいや、まじでちょっと飛んで…」


 まだ言ってるよ。


「田中お疲れー!ナイスラン!」


 爽やか山田だ。

 清涼感が溢れてくる。


「お疲れ山田。お前が来るとちょっと涼しくなる気がする」


「なんだそれ?田中は時々ワケわかんない時あるよなー。それよりお疲れ会どうすんよ?この後あるけど、カラオケらしい。あんまし田中こういうの来ないからさ」


 山田…気を使ってくれてるんだな。

 やっぱ良い奴だ。


「あーあんま人多いのはなぁ…止めとこうかな…」


「一応ほぼ全員来るからなぁ人は多いわ。でも今回のヒーローは田中で間違いないし…」


 山田が悩んでると後ろから立花が話し掛けてくる。


「はぁ?コウお疲れ会来ないって!?あり得ないから!主役が来ないとか!コウは絶対参加!!わかった?」


「えぇ~…」


 強引です立花さん…


「返事は!!」


「はい…」


 ノーとは言えない日本人…


「よろしい!んじゃ後でね~」


 ご機嫌で去っていく立花。


「まぁあの勢いには逆らえないか…出来るだけ人が少ない所に入れて貰うように行っとくよ」


「山田…お前やっぱ良い奴だな。ありがとう」


「ははは、良いってことよ!んじゃ俺も行ってくる」


 一連のやり取りを見ていたタクが声を掛けてくる。


「コウもかなり立花と仲良くなったみたいだな。まぁ見た目は美人だけど、そんなに羨ましくは無いな…」


「うーん、俺も、もう良く分からん」


「普通に良い奴っぽいのにな…春川の事がなけりゃ…」


 やっぱりタクは気が付いてたみたいだ。

 この体育祭きっかけで良い方向に向かってくれれば最高なんだがなぁ。


「とりあえず、俺達も行こうぜ」


「あぁ、行くって言っちまったしな」


 俺達もクラスの輪に向かって歩きだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る