第7話

 夢の中。

 知っている場所だった。

 知っている。

 ここは。


「わたしの」


 よく通った、あの。改札の先の。

 ちょっとした曲がり角。


「なぜここに」


 これは、わたしの夢か。

 それとも。

 むこうから、ひとが歩いてくる。

 ひとが。

 彼が。

 彼が、ここにいる。

 これは。


「あの」


 彼。

 わたしに気付かず。

 すれ違っていく。

 わたしと、彼しかいないのに。

 まるで、わたしに気付かない、みたいに。


「あぁ。そっか」


 これが。

 彼の。

 彼の任務は、これだったんだ。

 こうやって、彼は。

 わたしの夢を守ったんだ。わたしに気付かれないまま。私とすれ違っていることも、知らないまま。彼は、わたしの夢を守った。

 これは、彼の夢。

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