第143話 属性武器

「アレス王国国王レンだと! むむ、もしや後ろのお方は軍神ヴァイシュラ様ではないのか?」


(俺を呼び捨てでヴァイシュラは様付けかよ)


 レンはそう思ったが、振り返りヴァイシュラを促す。


「はい。私がヴァイシュラです」


「おお! 腰に、腰に差しているのは流星刀で相違ないか」


「流星刀です」


「是非、是非、見せてくんかの。小刀の10や20作ります故!」


「はい。良いですよ」


 ヴァイシュラは流星刀を気軽に抜いて、キンジューに渡した。


「おお! おおおお! これよ、これじゃよ。儂が弟子の頃、師匠が作った流星刀に間違いない。久しぶりに見たわい。むむ、むむむ。なるほど…………」


 その後、キンジューは無言になり、涙を流しながらじっくりと流星刀を見詰めていた。


「良し、作刀の件承知した。師匠の技を久しぶりに見て意欲が漲って来たのじゃ」


 キンジューは流星刀をヴァイシュラに丁寧に返すと、レンとマチェットの仕様を詰めるのであった。


「キンジューさん、先程『属性武器』って言ってましたが、耐性とか属性が付加されたりするのですか?」


「お主何も知らぬのじゃな」


「わんわん」(マスターに失礼な奴だワン)

「ガフガフ」(やるか?ワン)


 レンの質問にキンジューがそう答えたが、キンジューの失礼な物言いに、周りのコボルト達がキンジューを睨むとキンジューは慌てて、


「いや、儂は敬語は使えんぞ」


「ああ、別に俺は敬語じゃなくても良いですよ。みんなも睨むのは止めな」


 レンの言葉にコボルト達は怒りの矛を収める。


「九頭竜は9つの首を持っているが、その首ごとに属性のブレスを吐くのじゃ」


「白首は何か吐こうしていたけど、他の首はブレスなんて吐こうとしてたか?」


 レンはフェルダー達に顔を向けて尋ねる。


「ああ、九頭竜はブレスを吐く時に溜めが有るんだよ。溜めている時に攻撃すればブレスはキャンセルされる」


「そうそう、溜めている時は攻撃が出来ず無防備だからね。チャンスなのよ」


「私達がそのチャンスを逃す訳無いでしょ」


 とフェルダー、ダリア、エリーがレンの問いに答える。


「なるほど〜。その割には白首にブレスを吐かれそうになったけどな」


「それは、謝るわよ。あのとき、白首はもう倒れたと思っていて見逃したわ」


「まあ、ヴァイシュラに助けて貰ったから良かったけどね」


「そうそう、レン様、その話はそのくらいにしませんか?」


 サンディが話に割り込んだ。


「そうだね。終わった事を今更言ってもしょうがない。フィルツェンも無事だったし、その話は止めるよ。ところで属性ってどんなのがあったんだ?」


「白首は光のブレス、赤首は炎のブレス」

 フェルダーがそう言ってエリーを見る。


「橙首は土だったかなぁ、黄首は雷よ」

 エリーがフェルダーの後に続いて属性を言い。


「緑首は風、青首は水、藍首は氷」

 ダリアがその後を続ける。


「紫首は毒、黒は闇ですね」

 最後にサンディが告げた。


「じゃあ、九種類の属性のマチェットが作れるのか」


「そうだが、槍も作って欲しいな」

 ゲイルがレンに答えながら、そうお願いした。


「ああ、フンフ達槍部隊には槍も必要か。良いだろう」


「だったら属性を矢に付与する弓も欲しいわ。良いでしょ?」


 とエリーがレンにお願いする。


「そんな事が出来るの?」


 レンがキンジューを見る。


「ん〜、多分大丈夫じゃ」


「ついでに九頭竜の革と鱗で籠手や肘当て、膝当て、肩当てなども作って貰うと良いですよ。怪我も少なくなるでしょう」


 ヴァイシュラがレンにそう言った。


「良し、全部作ってくれ。金は払う」


「おお! レン様、太っ腹!」

「流石です!」

「やった〜!」

 フェルダー、ダリア、エリーが拍手した。


「いや、うちの戦力増強だから出し惜しみ出来ないだろう」

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