第142話 鍛冶師キンジュー

 レン達は鍛冶師キンジューの鍛冶場を訪れた。


 レンに同行したメンバーは……。


 レンの護衛であるロジーナと、ワイマラナーのコボルト・アハト、ジャーマンシェパードドッグのコボルト・ドライツェン。


 大将軍ヴァイシュラとブラッドハウンドのコボルト・フィルツェン。


 軍師サンディとボルゾイのコボルト・丿イン。


 将軍フェルダーと弓術士騎士団長エリー、魔法師団長ダリア、槍術士騎士団長ゲイル。


「こんにちは〜! ここはキンジューさんの鍛冶場と伺ったのですが〜! キンジューさんはいらっしゃいますか〜?」


 レンが大声をだすが………。


 カーン!カーン!カーン!……。


 規則正しい、リズミカルな槌を打つ音が響く。


「やっぱり先触れを出したほうが良かったんじゃない?」


「そうねぇ。全く聞こえてないでしょう」


 とエリーとダリアがレンに言う。


「いやぁ、直接訪問して普段の仕事ぶりを見たいって言ったのはエリーでしょ」


「そうだけどさぁ」


「俺が行って来るよ」


 フェルダーが鍛冶場の奥に入って行った。


 暫くして、フェルダーが二人の鍛冶師を連れて来た。


 鍛冶師は二人とも赤い身体のリザードマンだった。


(リザードマンの鍛冶師って珍しいなぁ)

 とレンはジロジロ見ている。


「キンジュー殿は世にも珍しいファイヤーリザードマン。セイシューの死後、種族が原因で迫害を受けて追い出されたそうです。種族について聞いたりしないでください」


 サンディが小声でレンに囁いた。


「あ、ああ。勿論だ」


(特に種族が何でも関係はないからね。要は実力があるか否か。それが重要なのさ)


「何だあんたら、儂等は忙しいんじゃ」


「そうですよ。親方が誰か知ってるんですか? 名工キンジュー様ですよ」


「知っているから依頼に来たんですよ」


 レンはキンジューに話し掛けた。


「誰が使う武器じゃ。儂の武器は使用者を選ぶぞい。飾りじゃないぞ」


 ジロリとレンを見る。


(あは、俺の武器なら作りたくないって顔だ。どうせ俺は戦いませんよぉ)


「コボルト達です」


 レンはアハトとドライツェンを見る。


「ガフガフ」(斬れる武器が欲しいワン)

「わんわん」(武器作ってワン)


 アハトとドライツェンが前に出る。


「ほう、腕は立つ様じゃの」


「わんわん」(俺も欲しいワン)

「ウォンウォン」(作ってワン)


 フィルツェンと丿インも武器を作ってと前に出ていく。


「この子達が九頭竜と戦ったのですが、今持っている武器では歯が立たなかったのですよ。作って欲しいのはマチェット。アハト、マチェットをキンジューさんにお見せしろ」


「ガフガフ」(これがマチェットワン)


「ふむ、錬金術師が作った武器じゃな。しかも材質は鉄と鋼か、この程度では九頭竜には歯が立つまいて」


「そうなんですよ。材料はこれでお願いします」


 レンはマジックバッグから九頭竜の牙と爪を台に置いた。


「ほう、九頭竜は倒したのじゃな。良い属性武器が作れそうじゃ。数は4つじゃな?」


「いや、20本作って欲しい」


「20? 儂の作刀は安物じゃないぞい。そこらの貴族では1〜2本が限度じゃろうて、お主に払えるのか?」


「キンジューさん、この方はアレス王国国王のレン様です。お支払いの方はご心配なく」


 サンディがキンジューに伝える。


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