第145話 兵站
「漸くオミラン王国に再出発だ!」
レン達は北オミラン王国に出発した。
メンバーは下記の通り、
レンと護衛のロジーナ、ワイマラナーのコボルト・アハト、ジャーマンシェパードドッグのドライツェン。
大将軍ヴァイシュラとブラッドハウンドのコボルト・フィルツェン。
軍師サンディとボルゾイのコボルト・丿イン。
将軍フェルダーとドーベルマンのコボルト・ドライ。
弓術騎士団長エリーとゴールデンレトリーバーのコボルト・ツヴァイ。
魔法師団長ダリアとフラットコーテッドレトリバーのコボルトメイジ・フィア。
槍術騎士団長ゲイルとシベリアンハスキーのコボルト・フンフ。
8人と8匹。8人は騎竜に乗り8匹が並走する。これだけの数だ。移動速度は兎に角速い。戦争に行くとは思えない身軽さ。これがアレスの強み。
人数が多ければ多い程移動時間は遅くなる。1番遅い人(通常は練度が低い歩兵か補給部隊など)に合わせる必要があるからだ。
「休憩にするぞ!」
野営地で休憩を取る事にして、みんなそれぞれ野営の準備を始めていた。
レンはマジックバッグからディレクターズチェアを出して腰掛けると、ロジーナが透かさずコーヒーを淹れて来た。
「どうぞー」
「おお、有難う」
そこにサンディがやってきた。
「レン様、これは画期的な事ですよ」
サンディが目を輝かせてレンに詰め寄る。
「な、何がだ」
「戦争で重要且つ難しいのは兵站です」
「あ、ああ。食糧を運ばなくても良いしね」
「はぁ、なんにも分かっていない。良いですか。昔から『戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る』と言う格言があります」
「ほう、そうなのか。言い得て妙だな」
「そうなのです。食糧に限らず、戦略物資の準備や輸送。必要なモノを、必要な時に、必要な量を、必要な場所に補給する為に頭を悩ませるのです。モノがないと戦えません。軍需物資の輸送は運ぶだけでは無く。その警備や管理する文官、統制する指揮官が必要で、その為に兵站専門の部隊や兵站を預かる優秀な人財を育てる必要があります」
「そうだろうね。ロバートの部隊には兵站の部隊がいると聞いたよ」
「そう、そうなのです。ところが、このフェルダー将軍の部隊には、それに相当する部隊が無いのに全く問題が無い。まるで旅行かピクニックに行く様な荷物で、しかも最速のスピードで侵入し、万を超える兵で戦える」
「そうだね。それが強みだと思っているよ。本当はコボルトもアハトとドライツェンの2匹だけでも充分なくらいだ」
「ワンワン」(マスター!ワン)
「ワォンワォン」(それは無いワン)
「ガウガウ」(同行するワン)
「バウバウ」(置いて行かないでワン)
ツヴァイとフィア、ドライ、フンフがレンの言葉に一斉に反応した。
(あ、コイツら耳が良いからなぁ。聞かれたかぁ)
「ごめんごめん」
ツヴァイ達に手をあげて謝り、サンディに向き直る。
「でも、辺境村でパグが食糧や物資の準備をしているし、アレス王国ではゼクスやズィベンが工兵の出陣の準備はしているはずだし、アインスが負傷兵の受け入れ準備もしているぞ」
「そこなのです。モノを輸送しないで、兵そのものを召喚・送還出来る事で、輸送の手間を省き、後方で賄える事が信じられない奇跡なのです」
「そ、そうだね」
「通常は敵国から略奪する事も前提に兵站を賄う計画を立てる事が殆どですが、コボルト兵は略奪無しに敵対する武力勢力のみ打倒する事で戦える。一般の民は誰が国王でも良いのです。自分達が平和に暮らせれば不平は出ない。コボルトテイマーのスキルは最強ですよ。レン様!」
興奮して熱弁になっていくサンディ。
「あ、有難う」
「あ〜、それくらいにしてね〜。ヘレナとリリスから戦争中にレンに浮気させないように言われているからさー」
今にも抱き着きそうなサンディを止めるロジーナ。
「そ、そんなつもりは、な、ないです」
顔を赤らめるサンディ。
「え!」
(ロジーナってそう言う役割!)
レンはロジーナの言葉を聞いて驚いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます