第114話 元エマ王国の残件
「ヒダ王国とエマ王国はまだ全ての領地を臣従させた訳じゃないから、残りの領地を制圧、臣従させる必要がある」
「うんうん」
ヘレナが頷き、
「時間が掛かりそうですわね」
とリリスが言う。
「それが解決したら、け、結婚と、婚約をする事で良いかな?」
「勿論、良いわよ。早く解決出来る計画立てなきゃね」
「一気に踏み潰しましょうか?」
「いや、人選はなんとなくしているから大丈夫だろう。それより準備などは二人に任せるよ」
「分かったわ」
「承知しました」
王城の中の国王の執務室は側仕えの者達も控える必要がある事からかなり広い。
レンの執務机は必須であり来客の用のソファーセットも置いているが、そこにヘレナの執務机とリリスの執務机も運び込んだ。
そこにレンの護衛であるワイマラナーのコボルト・アハト、ボルゾイのコボルト・ノインがいて、リリスの護衛であるセントバーナードのコボルト・ツヴェルフも控える。
そして、メイドの3匹。トイプードルのコボルト・トイ。チワワのコボルト・チワ、ポメラニアンのコボルト・ポメが出入りする。
また、トイ、チワ、ポメをお気に入りのオリビア、ロジーナ、プリシラも呼べは直ぐに来る事が出来る様に控えている。人間にしか出来ない事の用事を頼むのだ。
更に外部への伝言や雑用を行う為に柴犬のコボルト・シバとミニチュアダックスフンドのコボルト・ダックも控えている。
「ロジーナ!」
レンはロジーナを呼んだ。
「はいは〜い。呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃじゃ〜ん! やってきましたよ〜」
「エマからついてきた精鋭達は信頼出来るか?」
「精鋭達? ………ああ、モフモフ守り人部隊ね」
「また変な名前をつけたなぁ」
「あはは、彼女達は信頼出来るわよ。モフモフを裏切る子はいないと断言出来るわ」
「エマの残りの領地を臣従させて、そのままエマの防衛を任せたい。人選はロジーナに任せるよ」
「え〜、モフモフと離れるのは、寂しがるわ。ねぇ、リリス同志?」
「そうねぇ、モフモフの為に働く子達だからねぇ。でもレン様、モフモフもエマに行くのですよね」
「おう、コボルトは制圧と防衛の為に5千匹派遣する」
「おお! 大判振る舞いね」
「ああ、制圧が完了したら2,000は戻って来て貰うけどね」
「コボルトの隊長もつけるんでしょ。あの子達だけではモフモフを制御出来ないわ」
「コボルトの指揮はドライツェンに行って貰おう」
ドライツェンはジャーマンシェパードのコボルトだ。ブラウンにブラックタンが入っているオーソドックスな毛色。体毛はダブルコートの短毛。精悍な顔付きで忠誠心が高い。
「ええええ! ナンバーズじゃない。力入れてるわね」
「そうだ。制圧まではロジーナにも行って貰う。ロジーナなら制圧の仕方とか分かっているよな。この前と同じように進めてくれればいいから」
「え? いやぁ、行けって言われれば行きますけどね。帰ってきたばっかりじゃん。まだモフモフ成分充填中と言うか………」
「チワが了承すれば連れて行っても良いぞ」
「マジっすか! チワちゃんには傷1つ付けさせません! そこまで言われたら行くっす」
「で、もう一つ。制圧後なんだけど。誰かエマの統治を代理で任せられる人材はいないかなぁ」
「ん〜、モフモフ守り人部隊の一人にエマの侯爵の娘がいたので、その侯爵が良さ気なら任せられるとは思いますよ。駄目でも他に貴族の娘はいっぱいいるので、任せて貰えるなら、現地で面談して適当な人を見繕いますよ」
「おお、良いね。分かったロジーナに任せるよ」
「ラジャ! 行って来ま!」
ロジーナは巫山戯た敬礼をして執務室を後にする。
「チワあああ! 一緒に旅行しようぜ!」
(旅行気分かい!)
ヘレナとリリスは微笑ましい表情でロジーナを見送っていた。
ヘレナはロジーナと幼馴染みだし、リリスはモフモフの同志だから、国王の前でいつもの巫山戯た口調のロジーナに悪い感情を持たないようだった。
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