第113話 結婚と婚約2
「ゴホン、陛下。発言して宜しいでしょうか」
ランドルフが態とらしく咳をして、レンに発言の許可を求めた。
「勿論、ここはプライベートな部屋だ。好きに発言しても問題無いですよ」
ランドルフはヘレナの祖父であり、会って間もないので、微妙な敬語になっている。
「陛下、敬語はNGですよ。まあ、それは置いておいて………。陛下の足りない物の1つに人脈があります」
「まあ、そうだね」
「通常国王はその一族が周りを固めるので、人材に不足する事は少ないのですが、結果的に陛下は王族でありながら王家の人脈と真っ向から敵対し殲滅しました」
「うん、仕方なかったけど、結果的にそうなっちゃったよねぇ」
「陛下の目標は世界制覇とうかがっております。今後、他国を侵略していくに連れて、その国を治める為の人材が必要になります」
「確かに、エマ王国を誰に任せようか。誰がいいのか、決めかねている。信頼出来る人材は少ないね」
「その人脈を結婚で補うのは戦略として必要な事と存じます。一族となった者は一族の為に働きますので、一定の信頼を置く事にが出来るのです」
「ま、まあ、そうかも知れないけど……。ミノス王国も征服するよ」
爆打発言を投げ込んたつもりのレンであったが……。
「まあ、そうなのですか。それなら、私が王位を継承すれば、レン様は王配として労せずミノス王国も手に入れられるので一石二鳥では無いですか。征服するより楽に人材も手に入りますわよ」
リリスの方が1枚も2枚も上手だった。レンのミノス王国王配も既に計画していたのかも知れない。
「おお、そうか! だけどなぁ………」
チラッとヘレナを見るレン。
「正妻とか側室はどうなる? 俺はヘレナを正妻にするぞ。それは譲れない。王女として側室は不味いんじゃないの」
レンは何とか突破口を見出そうと、多少屁理屈だが、そうリリスに告げた。
レンの言葉に嬉しそうにするヘレナだったが、リリスは余裕の表情でレンに返答する。
「あら、それは全く問題ございません。ヘレナさんはアレス王国唯一の正式な貴族の娘。ランドルフ様はヒダ王国では伯爵でしたが、今は誰が考えても侯爵相当。格の違いはあまりありませんし、私は出戻りなのです。初婚のヘレナさんが先にはに結婚して正妻となり、出戻りの私が後から結婚して側室になると言うのはおかしく無いですわ」
「え? そ、そうかなぁ……。しかしなぁ」
煮えきらない態度のレンだったが、ヘレナ、ランドルフ、リリスの3人に押し切られて、ヘレナと結婚、リリスと婚約する事に決まった。
レンの居ぬ間にヘレナとランドルフを落としていたリリスの作戦勝ちだった。
流石、妖艶な才女だ。モフモフの信者の行動力に脱帽のレンだった。
レンはちょと心配になって後からヘレナに尋ねた。
「ねぇ、ヘレナ。リリスって信用しても大丈夫なの? 傾国の美女とか毒婦とか言われてたんでしょ」
「うん、私とレンの結婚を後押ししてくれて、話をしてみると案外良い人だったわよ。コボルトの事になるとポンコツになるけど、頭の回転が速くて頼りになる感じね。レンの留守中に私の仕事を手伝ってくれていて、全く問題ないわ」
すっかりヘレナはリリスを信用している様だった。
(成程、ヘレナの結婚を後押しする約束をして、ある程度の信頼を得て。ヘレナの仕事を手伝い仲間意識を持たせてからの婚約の筋書きだったのかなぁ。「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」って作戦か。仕事も出来る様だし、本当に信頼出来れば良いんだけどなぁ)
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