第70話 マディソンとオリビア
レンは領主の館にいた人々に下記の指示を与えた。
①この街の全てのギルドマスター、傭兵団、商会などの有力者に一時間後に、領主の館のホールに集まる様に告げる事。
②街中の人達に家から出ない様に、武器の所持をしない様に、街から出ない様に告げる事。
「はい。それでは街中に行って下さい」
レンは領主の館にいた人々にそう告げると、それからコボルト達を見回し指示した。
「使用人達に同行し、門を制圧しろ! そして逃げようとする人々、抵抗する人々、従わない人々は殺せ」
コボルト達は返事をして、ホールを出て行く人々を追って行く。
「召喚!」
レンは更にコボルトを増員して大都市の騎士団の詰め所に進軍した。
騎士団の詰め所に進むと騎士達が待ち構えていた。
「騎士団は問答無用だな」
レンはコボルト達に指示し集団魔法で炎弾を放つ。燃え上がる騎士達と詰め所の建屋。
「ああああああ」
「熱い!」
「助けてくれえええええ」
「いきなり──」
同時にコボルトの矢が騎士達に降り注ぎ、マチェットを持ったコボルト達が騎士達を襲う。
「ひぃ」
「降参する。降参するからあああ」
「俺に従う者は武器を置いて来い」
騎士団は壊滅し、抵抗を諦め降伏した騎士達は武器を手放し、レン達と一緒に領主の館に戻る。
一時間後、レンは領主の館に集まった街の有力者達を脅して、従わない者は処分し、配下に加わる事を強要した。
「集まらなかった有力者は冒険者ギルドと傭兵団か。………大都市の中に拠点を持つ傭兵団も多いからなぁ」
無言で勢い良く頷く使用人。
「分かった、案内してくれ。それから、騎士も何名か同行して貰おうかな」
「俺が行こう」
騎士団の団長らしき老年の男が立候補した。
「騎士団長か? 名は何と言う?」
「団長をしていました。名はマディソンです」
「私も行くわ。副団長をしていた、名前はオリビアよ」
背筋が伸びた女性騎士が前に出てきた。コボルト達をチラチラ見ており、気になるようだ。
「了解。マディソンさん、オリビアさん、宜しく。アハト、ノイン。行くぞ。」
レンは使用人に案内されて、ワイマラナーのコボルト・アハトとボルゾイのコボルト・ノイン、マディソン、オリビアを連れて領主の屋敷を出る。
屋敷には数十匹のコボルトを残し、レンの後を数百匹のコボルト達がついて来て、人が誰もいない街路をレンとコボルト達は無言で歩いて行く。
「ここが街で一番大きい傭兵団の拠点ですか?」
「はい。そうです」
使用人は恐れながら答えた。
「え〜、傭兵団の方々。私は辺境街の領主レンです! この街を制圧中です。配下になり俺に従う事を了承し、大人しく抵抗せずに出てくれば命は取りませんが、出て来ないならば従わないと判断して処分します」
レンは大声を張り上げたが、無言で返答はない。窓のカーテンが動き、レンの様子を窺っているのは見て取れた。
「ふむ、………燃やせ!」
レンはコボルト達に指示すると、コボルト達は炎弾の集団魔法を傭兵団の拠点である建物に放った。
燃え上がる傭兵団の拠点から飛び出してくる者達。
「いきなり何をしやが──」
武器を持って襲って来る傭兵達は、次々とコボルトの矢の餌食になっていく。
殺される仲間を見て両手を挙げて出て来る者達もいる。
「助けてくれええええ」
「降参しますうううう」
「お願いだああああ」
「何もしてないのにいいい!」
「俺達が何をしたって言うんだよ」
レンが手を挙げると矢の雨は止む。
「戦争をしているのですよ。何を寝言を言っているのですか? 貴方達も逆の立場で何度も敵の治める街を襲撃しているでしょう。俺の指示に従わない組織は潰すと伝えたはずですが?」
「そんな、いきなり攻撃してくるとは思わなかったんだよ」
「遊びじゃないのですよ。戦争をしているのです。行動を誤れば命にかかわるのは当然でしょう。まあ、いいでしょう。配下になるなら許します。これから他の組織も潰しにいくので一緒に来なさい」
「わ、分かった」
「ああ、そうだな」
「うううう、痛いよぉ」
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