第62話 次男アキツナ3
「門を開けなきゃ押し通るまで! ファイアスラッシュ!!」
アキツナは剣を抜き構えると、剣に炎を纏わせた。
そして剣を門に叩きつける。
アキツナのイメージでは門をスパッと斬り払い、門が崩れると思っていた。
しかし、門には傷一つつかなかった。
「な、なんでだあああ! 俺の魔法剣がああああ。てめえ、レン! 何をしやがった。卑怯な細工をしやがってえええ!」
喚き散らす兄アキツナを冷めた目で見ていたレンは非常な決断を下した。
「ドライ、斬れ」
淡々と下す命令。
「ガウ!」(了解だワン)
「召喚!」
レンがドーベルマンのコボルト・ドライをアキツナの横に召喚した。
ドライは迷わず禍々しいゴブリンジェネラルの剣でアキツナの首を落とした。
「送還!」
ドライがレンの横に戻って来た。
レンはレベルが上がり、眷属を召喚/送還する事が出来るようになっていたのだ。
「ご苦労」
「ガウガウ」(造作もないワン)
「我が領地に攻撃を加えた不届き者は成敗した。だが、今の行為を持って辺境の街から我が領地への宣戦布告として受け取った」
レンは落ち着いた声で淡々と隣り街の兵達に宣言した。
そして、
「フィア、やれ」
「ワオーン」(任せてワン)
フラットコーテッドレトリバーのコボルトメイジ・フィアがレンに応えて手を上げると、コボルトの魔法部隊が防壁の上に立ち上がり一斉に呪文を唱えた。
「わんわんわん」(陥没!ワン)
ガガン!!!
隣り街の兵達が立っている地面が5cm陥没して、兵達は体制をヨロケたり倒れたりする。
「うおっと」
「なんだなんだ」
「大規模戦略魔法!?」
「まさか、これ程の魔法が辺境の地で」
「しかもコボルトが?」
フィアはあげていた手を振り降ろすと、コボルトの魔法部隊は一斉に炎弾を放つ。
それぞれの魔法はそれ程でも無いのだが、それが一斉に放たれた事で大規模な炎の固まりになって兵達を燃やす。
「ぎゃあああああ」
「熱いいいい」
「助けてくれええええ!」
服に炎が燃え広がり、身体中炎に包まれた兵達が所狭しと動き回る。
端にいた兵達は陥没した箇所から出て、逃げていくが………。
「逃がすなよ。召喚」
「わんわん」(任せてワン)
「わんわんわん」(逃さないワン)
レンはコボルトの騎士達を召喚して兵達を追わせると、火傷を負って速く走れない兵達はコボルト達に討ち取られていった。
レンはその後、開門し兵達の遺体の片付けをコボルト達に指示すると、ヘレナに声を掛ける。
「ヘレナ、ドラッヘを召喚してくれ」
「何処いくの?」
「街へ行く。まさかアキツナを使って攻めて来るとは思わなかったよ。街を落として来る。兵達を送った今なら簡単に制圧出来るが、時間をおくと体制を整えられて手間がかかるからね」
「え、ちょっと待ってよ。一人で行く気?」
「まさか。ドライ達を連れて行くし、街についたらコボルトの騎士を召喚するよ。今行かないと手遅れになる」
「私も行くわ」
「いや、ヘレナはここで後片付けをお願いする」
「ん〜、人が足りないわね」
「ああ、仕方ない。急ぎたい早く呼んで」
「しょうがないわね。無理をしないでよ」
「無理は承知だろ。村を守る為だ」
「これだけは守って。『命を大事に!』分かった?」
「そりゃ守るよ。俺も死にたくない」
「だったら、良いわよ。召喚!」
ヘレナは騎竜のドラッヘを呼んだ。
レンはドラッヘに乗って
「ドライ、ノイン、行くぞ。道中の護衛を頼む。後のみんなは街に着いたら呼ぶ。戦いの準備をしておけ」
「ガウ!」(了解だワン)
「ウォン!」(任せてワン)
ドライとボルゾイのコボルト・ノインが返事をする。
他のコボルト達はレンについて行きたくて、不満そうにしているが了解の意思表示をしていた。
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