帰還、そして…
「皇さん、どうしてここに?」
鬼塚は訳がわからないといった顔をした。
「前に鬼塚さんが作ったSNSを使って鬼塚さんを探してるって投稿したら三重にいるってコメントがあったんで、もしかして牛鬼淵にいるかもって思って来ちゃいました」
伊万里はスマホを見せた。
「鬼塚さん、色々聞きたい事がたくさんあるんですよ!私!」
鬼塚達は、場所を移動して山を降りたところにある鬼塚の実家へ行き、お昼を食べながら伊万里は弟の雪之丞が修学旅行先の大阪で鬼塚を見かけたところから三重県へ行ったところまで鬼塚に聞いた。
本木千夏にうんざりして東京を出た鬼塚は、京都の知り合いを頼って京都に滞在した後、その知り合いの紹介で大阪のウィークリーマンションにいたが、本木千夏にバレ、苦し紛れに考えた結果、三重県に身を隠す事にしたそうだ。
「やはり、東京に戻って警察に通報しましょう!」
伊万里は片手を鬼塚の前に出した。
「す、皇さん〜。成長したね」
鬼塚は涙ぐんだ。
「あと、皇さんいいの?彼氏いる前で僕が手を握って?」
鬼塚は冷静に言うと伊万里は恥ずかしさで顔を赤くして手を引っ込めた。
「あの気になったんですが、何故鬼塚さんは何でも屋をやろうとしたんですか?」
「藪から棒だね〜」
鬼塚は苦笑いした。
「それ私も知りたいです!」
伊万里はわくわくした目で鬼塚を見た。
鬼塚と鬼塚の両親が言うには、鬼塚は幼少期から人間に興味があり、人間と友達になろうとしたが、鬼塚が牛鬼だという理由から誰も鬼塚と友達になろうとしなかった。人間と仲良くなる事を諦めなかった鬼塚は、人間に関われる仕事が何か考えた結果、何でも屋を経営する事にした。三重県から独り立ちしたかった鬼塚は何でも屋の場所を東京にしたのだった。
「まぁ、牛鬼も鬼も昔話やアニメの中では悪役だからなー」
鬼塚はそう自虐した。
「ですよね…昔話だと桃太郎みたいな主人公に倒されるし、アニメだとゲゲゲの鬼太郎に倒されますからね…」
「でも、鬼塚さんやご両親はいい牛鬼じゃないですか!」
伊万里は興奮気味に言った。
「皇さん、ありがとう!僕はなんていい部下を持ったんだ〜!
鬼塚は泣きまねをした。
「鬼塚さん、帰りましょう」
伊万里は優しく言った。
「うん。何でも屋もヤバそうだもんね。本郷君が僕の代理で何でも屋を引っ張っているから山田さんのお婆ちゃんが怒り狂ってるしね!いつか暴れるんじゃないかな〜。それで、暴れてお迎えが来ちゃうんじゃない?」
「鬼塚さん!馬鹿な冗談は止めてください!私と八巻さん毎回ブルーな気持ちで戻ってたんですからね」
「ごめん〜」
翌日、鬼塚は伊万里と
何でも屋のビルに着いた3人は、ビルの出入り口にいる人物を見て凍りついた。
そこにいたのは、本木千夏だった。
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