第35話 ダンジョンマスター

『さぁ、こい。ぷれいやーよ、見事、我を倒して見せよ』



 どうやら、準備完了のお知らせだ。


 相手はダンジョンマスター。


 どんな攻撃をしてくるかわからない以上、最初から、全力で迎え撃たないとダメだろ。


 舐めプなんかやって、やられてしまっては目も当てられない。



「ファイアーボール」



 先手必勝、デュラハンに向かって、 ファイアーボールを飛ばす。


 直径1メートルを越えた炎の玉が、イメージ通りの軌道を描いて直撃する。


 もちろん、全身甲冑の魔物に、炎で倒せるとは思っていない。


 目隠しになればいい、程度の攻撃だ。



『ぐうっあああああああっ』



 ……あれ、マジかよ。


 なんで、効いちゃってるんだよ。


 直撃したファイアーボールが燃えあがる。


 そして、苦しそうにもがき苦しむ、デュラハン。



【】

種族:デュラハン

性別:男

ジョブ:ダンジョンマスター

レベル:31

HP:850/977

MP:125

STR:195

VIT:325

INT:95

DEX:110

AGI:85



 ステータスを見てみれば、結構なダメージを与えてしまったようだ。


 この世界には、属性とか、どうなっているのだろう。

いや、これは属性を越えてダメージを与えてしまったと、考えるべきなのか。


 ダメージが与えれると、わかった以上、ムリに近づく必要はない。


 安全な距離から、ドンドン削っていこう。


 前に、ネトゲでやった定点狩りを思い出すわ。



「ファイアーボール」



「ファイアーボール」



「ファイアーボール」



 と、何度もデュラハンに向かって、ファイアーボールを打ち続ける。


 その度に、『ぐうっあああああああっ』と、叫び声をあげるデュラハン。


 なんかこう、一方的な感じ。


 それに何か、感じないわけでもないが。


 とは言え、こっちも命が掛かっている以上、

安全マージンが取れるなら、それに乗っかるばかりだ。


 さて、どのくらい削ったのだろう。



【】

種族:デュラハン

性別:男

ジョブ:ダンジョンマスター

レベル:31

HP:57/977

MP:125

STR:195

VIT:325

INT:95

DEX:110

AGI:85



 お、おう。デュラハンさん、すでに瀕死だったわ。

これは、HPゲージが赤色になっているやつだ。



『さすがは、ぷれいやー……その名に恥じぬ、力量よ』



 遠目から、ファイアーボールを連投してだけなのに、そう言われちゃうと、

何かこう、込みあげてくるものがあるな。


 剣に寄りかかっている姿が、更に追い討ちをかけてくるようだ。


 そして、のデュラハンさんを、よく見てみれば。


 何度も炎に晒されては、外気に冷やされたせいか、甲冑の所々に、ヒビが入っている。


 まさに、満身創痍といった感じ。



『しかし、まだ我が剣は折れぬ……』



 それに対して、 デュラハンさんは、まだまだヤル気のようである。


 もしかして、必殺技とかきちゃうのだろうか。

よくあるじゃんね、ボスのHPゲージをある程度、切ったら出てくるタイプのやつ。


 油断してたら、大ダメージ喰らうんだよな。



『うおぉおおおおおおおおっ』



 咆哮をあげて、向かってくるデュラハン。


 高く挙げた大剣が、俺に向かって振り降ろされる。


 俺も、これを向かい打つべく、『フルスイング』を発動させてバットを振り切った。



 高い金属音が鳴り響く。



 次の瞬間、刃の厚い大剣が、粉々に割れる。


 思っていた通り、何度も、熱に晒されて脆くなっていたようだ。


 それとも、ダメージの蓄積によるものかはわからない。


 しかし、今は攻め続けるべきだろう。


 剣を失って竦む、 デュラハンの胴へ向かって、

二度目の『フルスイング』を発動させたバットを打ち込む。


 バットを通して、甲冑が割れる感触が伝わる。



『ぐうおおおおおおおおおおおおおおおっ……』



 大剣と同様に、粉々に割れる甲冑。



 カーンッ。



 そして、抱えるものを失った兜が床に落ちた。


 落ちた兜の目には、もう、赤い光は宿って・・・いない。



 ピッ。



『ダンジョンマスターの撃破を確認しました。』



 ピッ。



『経験値取得にボーナスがつきます。3900の経験値を獲得しました。』



 ピッ。



『レベルアップ。スキルポイント20獲得しました。』


 

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