第83話 助けて! 誰か! ダメ男製造機が居ます!

 夢だ。きっと。あれは夢だ。そうに違いない。


「どうかしたのか? 未来」

「おお。久しぶりだな、豪」

「久しぶりって……毎日顔合わせてるじゃねえか」

「それはそうなんだがな。なんかこう……久しぶりって感じがして」

「意味が分からねえ……そういやお前いつ着替えたんだよ。見えなかったけど」

「ああ……なんか結構前のアレが考慮されて別部屋で着替える事になった」

「本当に今更だな……ん? 待て。そういや転校生もそうだったよな」

「……ああ、そうだ」


 俺は少し離れた場所でクラスの人と話している日向を見た。


 先程よりも表情が硬いように見えるのは気のせいだろうか。


「ま、妥当っちゃ妥当か。俺も初見じゃ男って見抜けなかったしな。可愛いし」

「彼女に怒られるぞ」

「ははっ。そんな狭量じゃねえよ。それよりお前も九条ちゃん達に怒られるんじゃねえか?」

「………………無いだろ」

「めちゃくちゃ見られてるぞ?」

「き、気のせいじゃないか?」


 女子の中から俺を見ている視線があるようなないような。……多分零は先程の事は知ってるだろうしな。


「それで? 仲良くなったりしたのか?」

「……どうだろうな。友人にはなったはずだが」


 なんせ、その後の出来事が衝撃的すぎる。


 その時。日向と視線が合った。その顔がボッと火を噴くように赤くなり。一瞬目が逸らされたが……とてとてと近づいてきた。


「み、未来。先生達どこか行ったけど、授業って何やるのかな?」

「ん? ……ああ、今回は次の単元の説明だろうな。時期的に水泳はありえるだろうが……男子と女子、どっちから先にやるのかは分からないけどな」

「あ、そっか。水泳……水泳か」

「憶測でしか無いがな。……いや。そういえば体育祭もどきみたいな行事なかったか?」

「あ、そういや四月ぐらいに言ってたな。学年対抗リレー対決だっけ?」


 豪へと尋ねると答えてくれ、俺は思い出した。


「それだ。……ああそうだ、日向。こいつは豪、変人だ」

「お前にだけは言われたくねえよ。ハーレム野郎。……俺は相葉豪あいばごうだ、よろしくな」

「よ、よろしく、僕は久高日向だよ。隣のクラスに転校してきた」


 サラッと紹介をし。俺は改めて日向を見た。


「学年ごとの団結を高める、だったか。そんな理由で行事が十月頃にあるんだよ。内容はさっき言った通りだ」

「り、リレーか。そっか、僕苦手なんだよね」

「……ああ」


 そういえば昔、零が言っていたな。……何も付けないで走ると擦れて痛いと。


(ん、そうだよ。ブラジャー付けると良くなるけどね)


 おお、リビング零。お前も久しぶり……か?


 まあそれは置いておくか。


「二学期になると時間割も変わるしな。水泳じゃなくてそっちの可能性の方が高いと思うぞ」

「……待て。もしかしてそれって女子も合同になるのか?」

「ん? ……ああ、そうじゃないか? 男女混合だし」

「……俺の安寧の地が」


 体育は基本男女別なので心が落ち着ける場でもあった。零達と居ることが疲れる訳では無い。ただ、たまには男同士でバカをやりたいと言うか……


 まあ良いか。さすがに絡んでくる事は……あるだろうが。


「という事で来ちゃった」

「帰れ。森に」

「森なら人目付かないし青姦出来るもんね。あ、もしかして青姦って森とかの青いとかから来てるのかな?」

「お前何でもエロい事に連想出来そうだよな。ゲーム」

「そういえばみーちゃんってえっちなゲーム持ってないよね」

「イヤホン」

「みーちゃんのお耳開発してから付けなくなったよね。時々耳舐めASMR聞いてるのは知ってるけど」

「消しゴム」

「ゴムを消すって意味だからえっちだよね」

「そうはならんやろが」



 と、ここで日向が俺と零を見て目を丸くしている事に気づいた。


「日向。この頭がおかしい奴が零だ。見た目はこんなだが頭がおかしい」

「んー、よろしくね。私はみーちゃんのお嫁さん第一号だよ」

「よ、よろしく……? えっと、僕は久高日向です。その、すっごく可愛いですね」





 ……驚いた。



 一応、零が誰かしら男子と話す時はなるべく注視するようにしている。


 零が不躾な視線を向けられるのは割といつもの事で……それでも人によって差がある。余りにも露骨なら俺は零とその人の間に立つようにするのだ。



 そして、日向、全くと言っていい程零の胸などを見なかったのだ。いやもう、こんな男子は豪ぶりかもしれない。


 それに……可愛いと日向は言ったが。その瞳に暗い陰は無く……可愛い人形を見て目を輝かせる少女のようで……。


 いや、それはさすがに気のせいだろうか。


(ん、気のせいじゃなさそうだよ)


 ……お前もそう思うか?



(ん。私もちょっとびっくりしてる。この感じだと……ううん、ここからはやめとくね。プライバシーにも関わるし)


 俺のプライバシーも守ってほしいんだが。


(ふむふむ。みーちゃんの昨日のオカズは幼馴染ハーレム)言ったそばから酷くないか!?


「ん、日向ちゃんだよね? 日向ちゃんもすっごく可愛いよ?」

「ふぇ!? あ、ありがとう……」


 日向がぺこりとお辞儀をした。それを見ていると……先生達が帰ってきた。


「ほら、二人も戻れ」

「はーい。みーちゃん。後で屋上と校舎裏でねっとりしっぽりしようね」

「やらねえ」


 零が戻るのを見て。……日向がじっと俺を見ているのに気づいた。


「……あの。未来、ちょっといい?」

「ん? なんだ?」


(私にもやさしくしろー! はらませろー!)


 お前はちょっと黙ってようか。


「未来が良かったら……お昼、一緒に食べて。良い?」

「……それはもちろん構わない、というか嬉しいが。少し肩身が狭いと思うぞ? 俺以外全員女子だし」

「だ、大丈夫。未来が居てくれるなら……」


 そう言って、日向は柔らかく微笑んだのだった。


 ◆◆◆


 ちなみに、体育は豪の言っていた通り学年対抗のリレーの説明などであった。


 夏休みが始まるまでは隣のクラスと合同練習。二学期が始まってから三クラスで合同になるらしい。


 そして、お昼時間。


「お、お邪魔します! 隣のクラスの久高日向です!」


 日向がクラスへ来た。


「おお、噂の転校生その二……日向ちゃんで良いの?」

「あ、えっと、好きに呼んでほしい……です」


 星が目を丸くしてそう聞くと、日向は恥ずかしそうに頷いた。


 その目は……相変わらず星の顔を見ていて、下には行かない。


 全力で我慢するタイプの俺だからこそ分かる。無理やり視線をそこに向かわせないようにしている訳では無い。



 ……まさかここで俺の『おっぱいに負けない男子高校生は居ない』論が崩されるとは。



「あ、無理して敬語とか使わなくていーよ。未来君と話す時とかは普通っしょ?」

「あ、はい……じゃなくてうん。それじゃあいつも通りに……」


 その後、皆の自己紹介タイムに移った。彩夏に驚きはしていたものの、普通に進んでいき――


「あ、初めまして。柳つつじだよ。お母さんから話はよく聞いてたよ」

「あ、僕も。お母さんがよく話してたよ」



 ただ、この二人はお互いを知っていた。確か親が同じ職場だったか。


 その視線や思考が普通の男子と違う事に気づいてか、皆不思議そうな顔をしていた。



 ……それと。一つ疑問なんだが。


「日向。少し距離近くないか?」


 日向の距離かめちゃくちゃ近い。手の甲や腕、肩が触れている。

「え、え!? そうかな!? ……なんか、未来って安心する匂いだったから。つい」


 その言葉に思わず肝が収縮した。



 ……こちらも少し思っていたのだ。日向がめちゃくちゃいい匂いするのだと。なぜ男なのに女の子みたいな匂いがするんだ。


「……だ、だめかな? 近くに居たら」

「…………だめじゃないが」


 落ち着け、俺。


 こんなに可愛い見た目をしているけど。


 男なのだ。大丈夫。俺にそういう趣味はない。


(男の娘は可愛い上に付いてるからお得って死んだおじいちゃんが言ってたよ)

 お前のじいちゃん何言ってんの? つか生きてるだろお前のじいちゃん。


「と、とりあえず。日向もこれからお昼は一緒に居ようと思うんだが。良いか?」

「ん、大丈夫だよ」


 零の言葉と共に皆頷いた。


 なんかそういう漫画だと日向が寝取る系男の娘キャラみたいな扱い方をされそうだが。零が大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。凄いなこの安心感。



 というか。どちらかというと――いや、気のせいだ。自意識過剰だ。うん。




 そうして……お昼は日向やつつじさんと親睦を深めながら過ごしたのだった。


 ◆◆◆


「お兄ちゃん! 最近私の出番が少ないよ! 強制的に孕ませるなりさせるよ!」

「存在感の塊みたいな存在が何を言っている」

「最近だと学校でもずっとお兄ちゃんの事しか考えてなくてさ! テストでも回答欄が全部お兄ちゃんで埋め尽くされたんだよ! 責任取ってよ!」

「よし、病院行くか。頭の」

「ちなみにテストって言っても作文問題ね」

「ガチの奇行に走ってんじゃねえか。先生の気持ち考えたことあるか?」

「そういえば返却の時本気で心配されてたよ。あ、これね。テストって」

「絶句」

「未来がもう絶句って言っちゃったよ」


 新から受け取ったテストを見て俺は絶句した。



 お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんとえっちな事したいお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん







「え? もしかして俺やべえ妹持ってた?」

「今更だよお兄ちゃん」

「待て。今お兄ちゃんと呼ぶな。お兄ちゃんがゲシュタルトお兄ちゃん崩壊してきたお兄ちゃんだから」

「もー、あーちゃん。だめだよ? みーちゃんを困らせるような事したら。ほら、みーちゃんの使用済み下着あげるから。それで深呼吸して落ち着いて」

「わーい」

「お前はなぜ当たり前のように俺のパンツを持ってるんだ? あと変態度が増すから被るな、新」

「はむはむ」

「食べろとも言っていない」

「……や、ほんとに今更なんだけどさ。未来って落ち着きすぎじゃない? かなりヤバい事やってる気がするんだけど」

「慣れたんだよ」

「えぇ……?」


 新の口からパンツを取り上げながら俺は言う。


「……ま、良いんだけど。そういえばさ。……未来の言ってた初恋の人ってどんな人だったの?」


 すると。ふと、咲がふとそんな事を聞いてきた。


「どんな人……か。優しい人、と言っても伝わりにくいよな……」

「ん。包容力の権化みたいな人。最近会ってママみが強化されてた」

「……へぇ」


 零の言葉を聞いて。咲がすっと目を細めた。


「ふぅん」

「……咲さん?」



 咲が俺をじっと見て……一瞬、星を見た。星は頷き。


 次の瞬間、俺は縛られていた。


「なっ……」

「おおー。星ちゃん腕上げたね」

「ふふん。凄いでしょ」


 え、何今の。凄い。いや凄いんだけど。


「なぜ俺は縛られた?」

「え? 咲ちゃんに頼まれたから?」

「いつの間にお前らはアイコンタクト覚えたの?」

「……ん。それでさ、未来」


 そのままじりじりと咲が近づいてくる。


「……別に? なんも思って無いけどさ。未来ってそういうのが好きなのかなって」

「な、なんだが凄く嫌な予感が」

「えいっ」

「ふおっ!?」

 背面を取られ。体を起こされながらもぎゅっと抱きつかれた。


「あ、じゃあこっちは私が」

「静さん!? その位置は良くないですよ!?」


 そして、俺の膝に静が座る形でしなだれかかってきた。良くない。非常に。



「あ、ああああの。静さん?その位置は非常にまずいと言いますか」

「ふふ。未来君の、おっきくなってる……♡」

「言葉にしないで! あとくりくりもしないで!」

「え? でも零ちゃんから開発するようにって言われてるよ?」

「零さん???」

「性感帯開発と処女卒業は早い方が良いってお母さんが言ってたし……」

「ついでに未来君から母乳……父乳が出ないかなって。ほら、成分は血液と似てるって言うからさ」

「サラッと恐ろしい事言わないで」

「お兄ちゃんのお乳! お風呂にしたい!」

「俺死ぬぞ」

「それは置いといて。未来」


 なるべく体を起こそうとしたが、咲に体を傾けさせられ……体重を預けてしまった。


 むにぃ、と頭にやわらかかかかかかかかか




「ななななななんでしょう?」

「……私。一応料理とかも出来るし。お世話するのとか好きだけど? ……み、未来が望むなら。えっ、えっちな事も……」

「やめて。遠回しに俺をヒモにしようとしないで。ダメ男になっちゃう。あとツンさんどこ行った?」

「別に? 未来はそこに居てくれるだけで良いし」

「助けて! 誰か! ダメ男製造機が居ます!」


 その時、扉ががちゃりと開いた。


「おじゃましま……何してるんですか?」


 彩夏唯一の良心だ。彩夏が瑠樹と沙良を連れてやってきた。


「今ね。昨日会ったみーちゃんの初恋の人に感じるバブみが凄かったから、咲が対抗してみーちゃんをヒモにしようとしてるの。あと静ちゃんがみーちゃんの性感帯を開発しようとしてるとこ」

「説明聞いても分からんだろそれは」

「なるほど……」

「なんで分かるんだよ」

「慣れましたから」

「そうか……そうか」


 まあ慣れるよな。零が混沌と性欲の化身みたいな存在だし。


「……彩夏。ちなみに助けてくれたりは」

「……ごめんなさい、未来さん」


 二つ返事でダメである。どうしよう……このままだとバブみに犯されてしまう。


 まあ、今までどうにかなったし。どうにかなるよな。


 ところでどうして近づいてきてるんですか、彩夏さん。


「……初恋、ですか。ボクもどっちかというと咲ちゃん寄りですね」

「彩夏さん。嘘と言ってよ彩夏さん」

「咲ちゃん。静ちゃん。混ざっても?」

「ん、良いよ。もちろん」

「うん、良いよ!」

「良くないが?」



 ◆◆◆

 五分後


「あへぇ……」

「お兄ちゃんのアヘ顔コレクションが捗る捗る」

「なんてもん作ってんだよ我が妹」

「あーちゃんあーちゃん。私もみーちゃんの舌出し白目コレクション作ってるんだけど共有シェアしない?」

「お前も何作ってんだよ。というかそんな表情した覚えないんだが」

「みーちゃんって寝てる時何しても起きないんだよね」

「おまわりさん!」

「へ、へえ……みーくー。何しても起きないんだ。そっか」

「私と一緒ですねぇ……」

「すっごい不穏な言葉が聞こえてきた」


 ちなみに。というかかなり言うのが遅れたが、ここは零の家である。


 零の母親は買い物で居ない。……零の父親は大丈夫なのだろうか。まあ、多分大丈夫なのだろう。



 すると。俺のスマホの通知音が鳴った。


「……誰だ?」

「あ、今取ってあげるね」

「いつになったら俺は解放されるんだ……」


 俺は縛られたまま零が取ってくれたスマホの中身を見る。


『明日。お母さんが晩御飯食べに来てって言ってるけどどうかな?零ちゃんも一緒に。あ、妹ちゃんも!私、会ってみたいな!』


「……つつじさんか」

「なんてなんて?」


 星が俺の縄を解きながら聞いてきた。


「明日、晩御飯食べに来ないか、だってさ。俺は構わないが。零、新。どうだ? 二人も誘われてるぞ」

「あ、行く」

「私もイク!」

「……なんか言い方が気になるが。分かった、そう伝えておこう」


 そうしてスマホを弄ると……ふと、視線を「うおっ!」


 周りを見ると。じー、っと彩夏達が……というか皆見てきていた。


「むー。なんかちゃんと仲良くなろうとしてる節あるなー」

「……昔の知り合いみたいな感じだからなんじゃないか?」

「ううー! 私も未来さんと同じ高校が良かったですぅ!」

「それは私も思うけどさー。まあ、仕方ないさー」

「……未来さん。今度はボク達の家にも来てくださいね?」

「あ、ああ。それは構わないが」


 アイドル三人にそう言われ頬を固める。内心がうっきうきなのは隠さねば。


「……じゃあまた私の家にご飯食べに来てよね」

「わ、私も。……一人暮らしだから。全然泊まっていっても良いから」

「私のおじいちゃん家にも行こうね」

「あ、ああ……ん?」


 なんか今すごい事言ってなかったか?


「咲。お前一人暮らしなのか?」

「あー、うん。前までは親戚の家に暮らしてたけど。……こう、その。人の温もりとかそういうのを求めてたたけで、居心地が良い訳じゃなかったから。ちょっと前に引っ越したんだ。……今は未来達が居るから寂しくなったりしないし」


 咲はふいっとそっぽを向きながらそう言った。……その耳は真っ赤である。


「……それでも一人暮らしは大変だろ。暇な時は家に来てくれ。俺も料理は出来るしな」

「あ、じゃあその時は一緒にお兄ちゃんの部屋襲いにいこーね!」

「ボク達の家にお泊まりも楽しいですよ! 良いよね、沙良、瑠樹!」

「うん! もちろんさー」

「みんなで眠ると気持ちよさそうですし。もちろん良いですよぉ」

「なんなら私の部屋にみんな泊めるのも楽しそうだよね。みーちゃんが寝てる隙に……」

「……ありがと。それも良いかもね」

 一部恐ろしい発言はあったが。まあ良いだろう。


 そうして……その後も皆で話しながら。一日を終えたのだった。



 次の日から――波乱の幕開けとなる事をまだ。俺は知らずに居た。

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