第78話 頭おっぱい……お腹いっぱいである

「さて、今日で終わり…………なのか」

「私達の物語はこれからだよ! みーちゃん!」

「打切エンドは悲惨だからやめてくれ」

「私達が消される時は打切にすら出来なさそうだもんね」

「怖い事を言うな」

「まあすぐR18ルートが開拓されるんだけど」

「更に恐ろしい事を言うな」

「ちなみにその世界線だとみーちゃんはガロン単位で出すし連続で五百回くらいはイけるよ」

「ソシャゲのインフレかよ」

「って事は二年ぐらいたったら一回でプールは満タンになるし三万回くらいはイけるって事だね」

「化け物も真っ青な化け物になってんじゃねえかよ」

「……? 真っ白な化け物になるんじゃない?」

「当然のように通りすがりの化け物さんにぶっかけるんじゃねえよ。化け物さん可哀想だろうが」

「やっぱりぶっかけは女体に限るもんね」

「俺達なんの会話してんの?」

「みーちゃんにぶっかけられたいって話だよ」

「違うな? 確実に」

「あ、そうだ。みーちゃん、時間良いの?」


 零に言われて俺はハッとなった。


「まじでやべえ時間じゃねえか!?」



 という事で準備をして。俺は彩夏達を迎えに行ったのだった。


 ◆◆◆


「ああ、未来君。一昨日は本当にすまなかったね。怪我、大丈夫かい? 病院代と慰謝料とかは給料に加算しておくけど」

 昨日は零がプロデューサーと会っていたので会うのは二日ぶりである。


「いえいえ、大きな怪我でもありませんでしたから。お気持ちだけで大丈夫ですよ」

「いや、これぐらいは払わせてよ。もちろんお金でどうにかなる事とか思ってないけど、誠意は示さないと」


 プロデューサーのその言葉に……俺は頷いた。これ以上断るのは失礼になりそうだ。


「……分かりました。それでは遠慮なく」

「ああ、ありがとね。……それで、どうだい? 今日で最後らしいけど。沙良や瑠樹とは上手くやれてたかい?」


「ええ。二人とも多少問題児ではありますが……とても良い子だと思いますよ」

 俺はプロデューサーの言葉に笑顔で頷く。すると、プロデューサーも笑って。


「それなら良かった。……一応確認しておきたいんだけどさ。続ける気は本当にないんだよね」

「……はい」


 俺は色々と考えたが。そう決めた。


「学業はどうにかなるかもしれませんが……少々人間関係が疎かになってしまっていたので」

「そっか……大事だもんね、青春は」


 プロデューサーは俺の言葉に頷いて。じっと、俺を見た。


「ねえ、未来君。彩夏は学校では元気にしてるかい? 友達とか、いじめとか」

「いじめはありませんよ。というか、あったら俺達が許しません。……友達は出来てますよ。どちらかと言うと広く浅くより狭く深く、だとは思いますが」

「良い事じゃないか。広く浅く、も良いけど深い関係の人が居れば将来的に結構楽になるからね」


 そのままプロデューサーは……撮影中の【nectar】を見た。


「……実はね。瑠樹も、沙良も。学校で友達が居ないんだ」

「……本当ですか? 注目の的になりそうなものですが」

 プロデューサーの言葉に俺はそう返す。プロデューサーはくすりと笑い……少し寂しそうな顔をした。


「仕事柄ね、二人はよく人の顔を見るんだ。子供ながらに……知ってしまっている。下心のある人物の表情を」

「……そういえば、彩夏も似たような事を言っていた気がしますね」

「ああ、彼女はリーダーだから。その辺は二人より知ってるだろうね。……それで、二人の周りにはさ。どうしても着いて回るんだ。『アイドルと仲良くなりたい』とか、『あれだけ売れてるならお金もがっぽり持ってるだろう』って輩がね」


 俺はプロデューサーの言葉に……上手く返せずに居た。


 彩夏もそうだ。……零や星を除けば、初めて出来た友人は咲。……人が嘘をついているか分かる、特別な子。


 どこか似ていたからこそ。咲は彩夏に。彩夏は咲に救われた。



「未来君と会ってびっくりしただろうね。こんなに下心が無い子なんて中々居ないからさ」

「……ゼロではありませんよ?」

「ああ、そうだろうね。そうじゃないと健全な男子高校生とは呼べない。でもね。時と場合を弁えている。二人の傍に居る時は決してそんな素振りは見せないし、表に出さない。その点で言えば、九条様……未来君の幼馴染は上手いこと欲を引き出しているんだろうね。未来君が疲れないようにさ」


 俺はその言葉に目を見開いた。


「……あれ? 気づいてなかった感じだった?」

「……そうですね」


 言われてみれば。零の事だし、それくらい想定していても不思議では無い。


「まあ……それはいっか。とにかくさ。二人は……彩夏も含めて三人は。未来君と会えて良かったと思うよ」

「そう言ってくれるなら嬉しいです」

「それと。出来る事ならマネージャーを辞めたあとも二人とは良い友人……それ以上の関係になって欲しいな、プロデューサーとしては」


 その言葉に俺はまた言葉を詰まらせる。


「アイドルって言うのは中々ストレスが溜まるものだ。理想の自分を演じ続けなきゃいけないから。……瑠樹や彩夏もそうだけど、特に沙良がかな」

「……ああ、なるほど」


 沙良はテレビに出る際は方言を出さないようにしている。普段通りに喋れないのはストレスが溜まりそうだ。


「【nectar】の三人で居るのも楽しそうだけど。未来君が来てからはかなり笑顔も自然になってるし。これはもう、未来君無しじゃ生きれないくらいにね。ちゃんと責任、取ってあげなよ?」


 プロデューサーが茶化すようにそう言ったが。俺は零の言葉を思い出して苦笑いしか出来ない。


「ほんとにありがとね。この一週間で色々と変わったから。というか驚きの連続、って言った方が正しいかな」

「こちらこそ色々とお世話になりました」

「良い経験になってくれたなら何よりだよ。お給料は口座に振り込んでおくからね。美味しいもの食べたり好きな物買ったりしてよ」

「はい。ありがとうございます」


 そうして会話は終わり……かと思ったが、プロデューサーは最後に笑って。


「ああ、そうそう。もしまたここでマネージャーしたくなったらいつでも言ってね。大人になってからでも良いし。席は空けとくから。……その時には、もっとこの事務所。大きくしていくからね」


 その言葉に俺も笑い返し。


「ええ、その時が来れば。よろしくお願いします」

 と、返したのだった。



 ◆◆◆


「……楽しかったな」


 俺は風呂へ入る準備をしながら、思わずそう呟いた。


 この一週間。相応に疲れたが、それ以上に楽しかった。


 服を脱ぎ、水着を履いて浴場へと入る。そのままシャワーから出る水がお湯に変わるのを待ちながら。俺はふと考えた。


「……そういえば。今日って誰が来るんだ?」


 一応昨日で二週目を終えた。俺は気合いで乗り切ったのだが。最後の日ではあるが、もしかしたら来ないかもしれない。


「まあ、それならそれでゆっくりすれば良いか」


 俺はそう独り言を呟きながら頭を洗おうとした時。


「未来さん、入りますよ」


「……ん? ああ」


 ガラガラとその扉が開いた。


「今日は彩夏達なの――」


 俺がそこを見ると、そこには。







 彩夏と瑠樹、そして沙良が居た。



「なっ……」



 どうしてここに、と言う前に。俺は三人の格好に目がいってしまう。


 まず彩夏。……彩夏はシンプルなオレンジ色のビキニだ。前回のような眼帯ビキニで無いだけ良い……と言いたいが。エッッと可愛いがミックスされ凄まじい破壊力となっている。


 次に瑠樹。瑠樹はエメラルド色のビキニなのだが。紐が首の前で交差し、首の後ろで結ぶタイプとなっている。確かクロス・ホルター・ビキニと言ったか。


 ……このビキニの性質上、ただでさえ大きな胸が引き寄せられ、更に強調されて見える。あと下乳がエッッ。


 最後に沙良。沙良のビキニは薔薇のように赤く……その胸と胸の間が格子状に繋がっているタイプだ。その谷間がほぼ見えている。ドスケベすぎないか(直球)


 ちなみにこの間0.05秒の事である。推しに穢れた視線を向けるなど言語道断。全力で視線を逸らした。



「なななななななななななぜ二人も居るんだ?」

「ボクが零ちゃんにお願いしたんです。……三人でなら堕とせるかなって思って」


 彩夏がそう言って近づいてきた。俺は思わず後ずさろうとするが、浴槽に阻まれる。


 そのまま彩夏が近づいて……その体が、胸が押し当てられた。薄い布越しにその柔らかい感触が伝わってくる。


「そ、その為に。未来さんの心にいる零ちゃんも抜いておいて貰いましたから」

「……え?」


 そういえば先程から静かな気がする。リビング零。う、嘘だよな?



 ……





 まじか。居ないのか。いつから居なくなってたんだ



「ふ、ふふん。沙良ちゃんまで未来さんの事が好きになったんです。……覚悟してくださいね?」


 そう言った彩夏の顔は……真剣そのものであった。


「私、初めてですよぉ! 男の人とお風呂に入るのなんて!」

 そう言って今度は瑠樹が近づいて手を取ってきた。


「い、いや。それが割と普通だと思うが」

「……そ、それよりどう? みーくー。私達の水着は」


 続いて沙良が近づいてきてそう言った。


「……か、可愛いと思うぞ」

「……ちゃんと見てください、未来さん」


 目を逸らすも。彩夏が俺の頬を掴んで前を向かせてくる。


「あ、彩夏さん? なんか今日積極的というかなんというか」

「ボク……いいえ。ボク達で思ったんです。今の未来さんなら堕とせるんじゃないかって」

「はぁい、だから私達も呼ばれたんですよぉ!」

「なるほどな。これがレベル99の勇者パーティが来た時の魔王の気持ちか」


 しかも全員魔王特効武器&装備を装着している。



 ……あれ? もしかしなくても本格的にやばい? いややばいな。なんで俺推し達と風呂入ってんだよ、


「ふふ。それじゃあ未来さん、頭から洗ってあげますね!」


 そのまま俺は彩夏に手を繋がれ。風呂椅子に座らされた。


 俺は抗う事も出来ず……そのままシャワーから出たお湯に目を瞑った。



 次の瞬間。背中にむにゅりと柔らかい感触が走った。


「あ、彩夏さん!?」

「こ、こうしないと……ちゃんと頭洗えませんから」

「そ、それなら前に来れば……」

「……お、おっぱいに顔埋める形になりますけど。それでも良いなら……」

「このままでお願いします」


 おっぱい枕からの頭を洗うのは咲でもう頭おっぱい……お腹いっぱいである。


 そのまま背中に伝わるmarshmallowのような柔らかさに俺は耐え。めちゃくちゃに意識を逸らそうとする。



 無理だろ! 男子高校生がおっぱいに勝てる訳無いだろ!


 いや、俺なら勝てる。大丈夫、今までと同じだ。頑張れ。俺。


「……わぁ、おっきくなってますぅ」

「俺の決意を一瞬で無に帰す言葉やめてくれないか! というか気づかないでくれ!」

「ふふ、大丈夫ですよぉ。未来マネ……未来さん? 手、貸してください」


 すっっっっごい嫌な予感がしたが。俺が断るより早く手を取ってきて。








「私も凄い事になってますから……」


 その手がぬるりと……やけにぷにぷにとしている物に触れた。


「いけません! これは消されます! ダメです! ライン越えです!」


 そのまま手を動かそうとしてきたので俺はそう叫んだ。良くない。過去一それは良くない。まじで消される。


「わ、私も……!」

「沙良さん!?」


 俺のもう片方の腕が取られ。それがすっっっごけ暖かい物に包まれた。


 目を開けて居ないので分からないとかそんな事は無い。これだけ大きく暖かい物など一つしか無いだろう。


「ど、どうかな。男の子はこういうのが好きって聞いたんだけど」

き、嫌いではないが大好きです

「……今の。未来さんどうやったんですか? 声が二重に聞こえてきましたけど」

「はは、何を言っているんだ彩夏。そんな零みたいな事出来るはずないだふぉうっ!?」

「さっきよりかちかちになってますぅ!」

「瑠樹さん!? お願いだからそこ触らないでっっ、くれるかな!?」

「ピクピクして面白いですぅ」

「話を聞け!」


 しかし俺の言葉も聞かず……背中に当たる柔らかい感触も強くなって。


「未来さん」

「ひゃいっ!? ……あ、彩夏。耳は弱いからやめてくれ」


 耳元で自分の名前を囁かれて変な声を上げてしまった。最推しの生ASMRとかいくら払えば良いの? お給料全部注ぎ込まないと足りないんじゃないか?


 そんな俺の思考は彩夏の次の言葉で真っ白になった。


「我慢、しなくて良いんですよ?」

「ッ……!」

 酷く甘い言葉。ぞわぞわと耳が快楽に侵され、それが脳へと到達する。


「いっぱい我慢、してますよね? ボクに……ボク達に全部、ぶつけて良いんです」



 やばい。頭がくらくらしてきた。


「ね? 未来さん、だから――」


 頭がお湯で流され。彩夏の手が俺の体をなぞり……下腹部へと辿り着き。


 そして。その指が俺の水着の中へと入り――
















「だめだ」


 俺はその細く、柔らかい腕を掴んでそう言った。





 すると――


「ふふ」


 彩夏は笑った。嬉しそうに。



「そう言うと思いました」


 そして……そのまま彩夏が俺を抱きしめる。優しく、暖かい温もりが全身を包んだ。


「未来さんってすっごい一途ですよね」

 唐突にそんな事を言ってきた。その言葉に俺は戸惑い。そして苦笑した。


「正反対の言葉じゃないか?」

「いいえ、未来さんはすっごい一途です」

 そのまま彩夏が俺に体を預ける。


「その目はあっちこっち行っているように見えて。絶対に一人の人から目を離していません」

 その手が。俺の手を握った。


「初めては零ちゃんと。……そういう事ですよね?」


 その言葉に――俺は何も返せない。


「未来さんはすっごく優しくて、一途なんですよ。もし零ちゃんがボク達が傍に居るのが嫌だって言ったら。……ボク達ももちろん、咲ちゃんも、静ちゃんも、星ちゃんだって未来さんの傍には居られません。その時は未来さんは心を鬼にして……いえ、もしの話はやめておきましょう」


 こほん、と彩夏は可愛い咳払いを一つして。


「とにかく、未来さんは自分が思っている何倍も一途なんです。だから、ボク達がこれだけしても折れたりしません。……これでも三人で勇気を出したんですよ?」


 見ると。彩夏だけでなく……二人もずっと顔を真っ赤にしていた。


「……すまな「謝らないでください」」

 俺の言葉に彩夏は珍しく被せてきた。


「さっきも言いましたが。ボク達は未来さんが断る事を承知でしたんですよ。……まあ、あわよくばを狙っていなかったと言えば嘘になりますが」


 彩夏はそう言ってくすりと笑う。


「それに。色々な未来さんを見られたから良いんですよ。さっきのとか。……女の子みたいな声を出して可愛かったですよ?」

「うっ……それは忘れてくれ」


 つい油断していたから声を上げてしまったが。冷静に考えると死にたくなる。


「ふふ。……ほら、瑠樹も沙良もずっと見てないで未来さんに抱きつこ?」

「わぁい!」


 その言葉に待ってましたとばかりに瑠樹が抱きついてきた。続いて……沙良も。おずおずと近づいてきて。ぎゅっと抱きしめアッ


 てかこの状況はなんなんだ。乳が乳で乳だぞ。四面おっぱいだぞ。いや三面なんだが。三面おっぱいだと原型がないだろ。俺は何を言っているんだ?


「ふふ。未来さん」


 そのまま彩夏は笑顔で俺の名を呼び。



「大好きですよ。……これからもずっと傍に居ますから」


 そう言って――俺の首筋へと唇を付けた。




 それに合わせて瑠樹達もぎゅっと俺を強く抱きしめ。


「私も一緒に居ますよぉ!」

「わ、私も……一緒に居るから」


 その顔を近づけ。頬へと口付けをしてきたのだった。俺は無事死んだ。


 ◆◆◆


 それからなんやかんや瑠樹の体を洗っている時にまた擦り付けられたり沙良が自分もと胸を擦り付けてきたりなどがあって。俺達は浴槽へと入っていた。


 さすがに四人だと窮屈なので二人ずつ……ではなく三人ずつ。途中で彩夏が沙良と交代する形だ。今は彩夏が浴槽の外にいる。


「それでですね? ボク達、シェアハウスする事になったんです」

「それなら瑠樹も沙良も大丈夫そうだな」


 今は普通に雑談をしている。俺は全力で視線を下げないようにしているのだが、ふとした時に視線を吸い寄せられそうになる。万乳引力ってすごい。


 どうやら三人は引っ越すらしい。三人の行く高校はそう遠くない。その中間にあるマンションに住むそうだ。


「私はまた未来さんに起こされたいんですけどねぇ……でも、仕方ない事も分かってますし」

「私も……みーくーのご飯食べたかったさー」

「まあ……暇な時は朝ごはんでも作りに行くよ」

「本当ですか!?」


 俺の言葉に彩夏が一番嬉しそうにしていた。


「ずーっと二人が羨ましかったんです! ぼ、ボクも瑠樹みたいに未来さんにき、キスされて起きたいしご飯も食べてみたかったんですよ!」

「ま、待て。その起こし方はさすがに……」

「……してくれないんですか?」


 うっ……。最推しの上目遣いお願いの破壊力やばい。

「……ま、まあ。瑠樹にはしてたからな。分かった」

「やった!」


 俺の最推しが可愛すぎて辛い。天使か?


「み、みーくー。私も……」

「……ああ、分かった」


 もうこうなれば全員まとめてかかってこいである。


「……未来さん、手。借りても良いですか?」


 浴槽の縁にもたれかかりながら彩夏が言ってきた。

「ん? 良いぞ」

 片手を出すと。彩夏はにこりと笑って俺に手を取り。


 ぎゅっと。指を絡ませて握った。


「えへへ……未来さんの手、大きくて暖かくて好きです」

「アッ。スキ」


 何それ。可愛いが過ぎるが? は? クソ可愛いが?


「……む。みーくー。私にも手」

「え? ああ……」

 もう片方の手を沙良が取る。……そして、その手を自分の頬に押し当てた。


「……ほんとにおっきい。男の人の手って感じする」

「アッスキ」


「むぅ……未来さん? 私はどうなんですかぁ?」


 その反対で瑠樹がムッと頬を膨らませた。

「アッスキ」


 なんだこの可愛い生き物は。じゃなくて。俺がとんでもないクズ男になっている気がする。いや手遅れか。



 ……まあ。


「「「えへへ……」」」


 楽しそうにしてくれているから。良いか


 そうして……過去最大のピンチを俺は乗り切ったのだった。





 その次の週末。俺は零と二人でデートをする事になった。以前約束していたものだ。

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