第42話 よくそんな法律的にも倫理的にも人道的にも反する事思いつくね

「さて、じゃあ次は星だ」

「やった!」

「……私の時はサプライズでいきなり子供が出てきたりしないかな」

「何怖い事行言ってんの? 人間って一人で子供作れないんだよ?」

「なんか……こう。ずぼってやってびゅるってやったら出来ないかなって」

「それは出来るだろうけどね? 違うんだよ。誰との子だって話になるんだよ」

「……? みーちゃんの子だよ?」

「あれ? もしかして自分で自分を孕ませられるって思ってる?」

「クローンが出来たらたくさんのみーちゃんとえっちな事出来るかなって……」

「何その地獄絵図。よくそんな法律的にも倫理的にも人道的にも反する事思いつくね」

「みーくーるーくーん! 今度のイチャイチャは私の番だよ! 怒ったら転んだ拍子にえっちな事するよ!」

「何だその新手の脅しは……悪かったよ」



 とりあえず零とやけに静かな新は脳から排除し、星を見る。


 一つ、咳払いをした。



「星。色々思う事もあるだろう。だが……このプレゼントは。俺が居なくなってからもずっと、俺の事を考えてハンバーグを作ってくれたお礼だと思って欲しい。お前がハンバーグを作ってくれた時。嬉しかったんだ。ありがとな」


 そう言って箱を渡す。……すると。



「……私もね。嬉しかったんだ。未来君に会えて」

「気づけなくて悪かった」

「ううん。そりゃ普通気づけないよ。……それに、最終的には気づいてくれたじゃん? 下着とホクロで、だけどさ」

「うっ……」


 今考えても中々恐ろしい気づき方をしていると思う。なんだよ、三年前のパンチラを鮮明に覚えてるって。気持ち悪すぎるだろうが。



 ……だが。今思えば、それほど星の事を気にしていたんだなと思う。居なくなった後からは零がやけに積極的だったし……今思えば気にかけてくれたんだろうな。


「ね、未来君。私もぎゅってして良い?」

「……ああ」


 俺の言葉とほぼ同時に星が抱きついてきおっぱ……やめろ。その空気は捨てろ。


「……ふふ。ずっとドキドキしてるね。一緒だ」

「……そうだな」


 ドクン、ドクンと心臓の音が重なる。それはどこか心地よかったものの……やけに柔らかいものが脳の思考区域を侵していた。



 ……おちちつけ。じゃない。落ち着け。乳を突いてどうする。

「嬉しいんじゃない?」

「だから俺の心と会話するな」


 そうして数分ほどしてやっと、星が離れた。


「……ありがと。ね、開けてみて良い?」

「ああ。もちろん」


 星が嬉しそうに包装を開いていった。そうして開くと……出てきたのは、小さな箱が二つ。


「……なんだろう」


 星がわくわくとした顔をしてその箱を開くと……




「……!」



 そこにはイヤリングが入っていた。


「昔、星が言ってたのを思い出してな。『ピアスは痛そうだから付けたくないな。でも、イヤリングなら付けてみたい』……見ていたら、耳にピアッサーを使った跡も無かったからな」


 わざわざピアス跡を調べて確認した。間違いない……はずだ。多分。


「未来君」


 星がそのイヤリングを取った。……星形の、少し大きめのイヤリング。


 普通に使う分には少し躊躇いそうだが……星の髪色や服装だと合うだろうと思って買ったのだ。








 その時。ほろりと。星の頬から雫が滴った。


「ほ、星!?」

「……ぅ? あ、あれ? 私……」



 やべえ。もしかして地雷だったか? まさか、幼い頃にイヤリングを踏んで足に刺さったとか……イヤリングに親を殺されたとか……

「落ち着いて、みーちゃん。そんな訳ないから。ちゃんと星ちゃんの顔見て」

 零の言葉にハッとなる。星をよく見ると……




 笑っていた。



「ご、ごめんね、未来君。私ね。こんなに嬉しいの初めてでさ。……お母さんの都合で家に帰っちゃって。ずっと怒ってるだろうなあって。思ってたから。……未来君」


 星が。溢れる涙を拭う事すらせずに俺を見た。



「大好きだよ」






 ……やばい。また彩夏とは違うやばさがある。



 なんだ。この満たされていく感じは。



「……とりあえず涙を拭え」


 自分の服を引っ張り、星の涙を拭う。それを星の涙が途切れるまで繰り返していると……


「……ね、未来君。私も未来君にイヤリング……付けて欲しいな」


 潤んだ瞳でそう言われた。思わず言葉を詰まらせてしまう。


 いや、涙のせいで潤んでいるんだろうが……どうも扇情的に見えてしまう。


「わ……分かった」


 それに頷き……俺は星からイヤリングを受け取った。


「あ、ねえ……もひとつ良いかな?」

「……? なんだ?」

「こっちも付けたいなって……贅沢かな?」


 そう言って、星はもう一つの箱を差し出してきた。


「……こっちは月、でしょ?」

「はは……よく分かったな」

「昔、聞かれたもんね。『一番好きな星は?』って」

 その言葉に俺もその時の事を思い出した。



 星に好きな物を聞いた時の事だ。


『一番好きな物? ……ふふ。ちょっとはずかしいんだけど。星かな。小さい頃から自分の名前が大好きでさ。お昼は見えないけど……夜になったら出てくる。それがとっても綺麗だって思ってね。私もいつか、こんな風に綺麗になれたらなって思ってるんだ』


『……え? ほ、星が好き!? ……あ、ご、ごめん! す、好きな星だね。……えっと、そうだなぁ……月かな。……少しくらい天気が悪くても見えるから。三日月とかじゃなくて、満月が好き。三日月って、何か大切な物が欠けているように見えるから』


「今考えたらちょっと恥ずかしいね。……でも、すっごく嬉しいよ。私」

 そうして星が箱を開けると、当然そこには――


「私の事、本当に忘れなかったんだって分かったから」



 満月のイヤリングが一組入っていた。


 また星の目が潤み始める。俺はまた拭った。


「えへへ……ごめんね。ありがと」

「気にするな」


 そうしてまた星が落ち着くのを待つ。その後……俺はそのイヤリングを一つずつ取り出した。



「痛かったら言ってくれよ」


 イヤリングは人によっては痛くて付けられないとも聞く。……なるべくそうならないよう、耳に付ける部分をシリコン製にしたりするなどやったが。


 もしどうしても付けられなければ、またその時は別の物を考えよう。


「……大丈夫か? 痛くないか?」

「全然大丈夫だよ。……ありがと」


 しかし、その考えは杞憂だったようだ。無事、両方のイヤリングを付けられた。



「ふふ。どうかな。似合う?」

「……ああ。とても」

「良かった。ね、写真撮ろ、写真!」


 そう言うが早いか、星はスマホを取り出してカメラを起動した。俺が頷くと……






 次の瞬間。俺の頬に柔らかい感触があった。それと同時に、カメラのシャッター音が鳴り響く。


「なっ、おまっ」

「どう? 未来君。よく撮れてるんじゃない?」


 そうして見せてきた写真の中では……俺が星にキスをされていた。実に間抜けな表情をしながら。


「あ、これサイズもちょうど良いからアイコンにも出来るじゃん」

「やめて! 俺の間抜けな顔が学校中に晒される!」

「大丈夫大丈夫、可愛いから。ホーム画面にも出来るね」

「俺が大丈夫じゃないんですが」


 しかし……何を言っても星は聞かないだろう。なら……いいか。楽しそうだし。


 俺は楽しそうにその写真を眺める星を見て、ため息を吐くのだった。


 ◆◆◆


「さて……最後だな」

「そ、その箱の中に私達の赤ちゃんが……」

「怖ぇよ! どんな怖い話だよ! DV夫かよ俺は!」

「泣き声がしない……これがシュレディンガーの「不謹慎! やめろ!」」

 炎上しそうな事を言う零の口を手で塞ぐ。


「ぺろぺろ」

「お前らは俺の手を飴か何かだと勘違いしてるの?」

「みーちゃんの手が美味しそうなのが悪い」

「……これ私もやった方が良い?」

「やらなくていいから、星。ステイ」


 ……と、やっていると。やけに新が静かなのに気づうわっ!


「あ、新? なにそんなオークがエルフを陵辱するエロ漫画を読んでいるおっさんみたいな顔してるんだ?」

「……え? あ、ごめん。今お兄ちゃん×8に輪姦される妄想してた」

「オークは俺だったって事かよ。というか当たり前のように俺増やすのやめない?」

「さっき零ちゃんがお兄ちゃんにお兄ちゃん産ませるって言ってたからつい……」

「あ、さっき黙ってたのって空気読んでた訳じゃないんだ」


 というか、この様子だと俺は何人まで増えてたんだろうか……恐ろしい。


「それじゃあ、最後は二人の「あ、ちょっと待って、お兄ちゃん」」


 箱を手に取ろうとした時。新が止めてきた。


「お兄ちゃんの妄想してもうパンツがびしょびしょで……ちょっと替えてくるね」

「俺もうプレゼント渡すのやめようかな」


 危うく振り上げそうになった拳を下ろす。この自由人が。



 割愛。


「お待たせ、お兄ちゃん。Tバックに替えてきたよ」

「なんでそんなの持ってんの? という話は置いておこう。数ある選択肢の中からなぜそれを選択した?」

「お兄ちゃん好きかなって……こういうの。お兄ちゃんのスマホの検索履歴も「ああああ! やめろ! 俺が悪かったから!」」


 新の口を手で塞「ぺろぺろ」「俺も学ばねえなあ!」

 ついさっき零にもやられただろうが。

「み、未来君……やっぱり私も「やらないで!」」


「それよりみーちゃん。私達にはどんなプレゼントなの? 早く早く。みーちゃんのプレゼントなら何でもおかz……嬉しいから」

「今すっごい不穏な事聞こえそうだったんだけど」

「気のせいだよ」



 ……とはいえ。なんやかんやあったが、俺も二人のプレゼントはちゃんと考えている。今まであげたプレゼントは、子供らしいものの範疇であったが。


 今回は違う。


「……それじゃあ二人とも」

「ん」

「うん!」


 俺が言うと、二人が並んだ。


「……正直、何で答えられたんだとか言いたい事はあるが。それは置いておこう。今まで、俺は零と新に何度も救われている。……傍から見れば馬鹿みたいな事を言って、それかやってるようにしか見えないだろうが。俺がこれ以上卑屈にならないよう……気を紛らわせるためにやってくれていた事ぐらい分かってる」


 思えば、零は……そして新は、絶対に俺を一人にしようとしなかった。


 寝る寸前までは新が居たし、朝は零に起こされた。


「……半分正解で半分不正解だよ、みーちゃん」


 しかし……零は首を振った。


「みーちゃんとのやり取りは楽しいから。つい熱くなっちゃうんだよね」

「お兄ちゃん全部に突っ込んでくれるもん! 私の「自主規制」にも突っ込んで!」

「……まあ。そういう事にしておくか」


 一瞬本当に零と新が危ない人かと思ったが。……大丈夫だよな? 実は本当にヤバい人だったりしないよな?


「とにかくだ。……このプレゼントもかなり時間をかけて選んだんだ。気に入ってくれたら嬉しい」

「ん。ありがと。みーちゃんから貰った物なら何でも嬉しいけど……開けてみるね」

「ありがとー! お兄ちゃん! 私も開ける!」

「ああ」


 零達が包装を丁寧に開ける。そうして出てきた箱は、零の物が小さめで、新の方が少し大きい。


「やっぱり組み立て式の赤ちゃんが……」

「ホラーゲームかよ。最近の規制厳しいんだぞ。その辺にしとけ」


 そんな事を言いながらも、二人は目を輝かせながら箱を開いた。


「「!」」




 零の箱の中にあったのは……シルバーのネックレス。値段の都合上、一つだけだし、そんなに高級な物でもない。世間一般的に見れば安物だろうか。……でも、バイトをしていない学生にしては頑張ったと思う。


 そして、新の箱の中に入っていたのは……バングルだ。留め具のないブレスレット、と言えば良いか。


 新はまだ中学生だ。大人っぽいブレスレットは危ないだろう。かと言って、子供っぽいものも良くない。


 という事で、ピンクゴールドに近い色となった。高くないので本物かどうかは分からないが。だが、安物という訳でもないので大丈夫だろう。


「……みーちゃん」

「……お兄ちゃん」


 二人がそれを取る。


「懐かしいね。覚えてたんだ」

「ああ。……というか、忘れられる訳がないだろ」



 小学生の頃。俺達は夏祭りに行った。色々な屋台がある中、俺は射的をやった。


 零と新が欲しかった物があったから。それがネックレスとブレスレットであった。安物ではない……高級そうな箱に入っていた。


 俺は何回も挑戦し……そしてやっと、その二つを取る事が出来た。しかし。



 中に入っていた物は安物の……箱のデザインの物とは違う、プラスチック製のネックレスとブレスレットだったのだ。


 屋台の男は子供だからと舐めてかかってきていたのだが。零と新がブチギレた。


『みーちゃんの努力を否定するの? 今ここで大声で泣き叫ぼうかな? おじさん大変な事に――』

『うわあああん! 詐欺! このお店詐欺してるよ! お兄ちゃん!』

『あーちゃん早いよ……このおじさん脅して本物を強請った方がいいんだよ』

『あ、そっか』

『次からは一緒にやろうね。……もう大人の人来ちゃったから』


 ……そうして男は警備員に連れていかれた。無事お金は戻ってきたが、やはり景品は貰えなかった。



 その時、二人に言ったのだ。


『いつか、俺が二人にプレゼントをするから』

 と。



「……本当ならバイトなりなんなりして、ちゃんとした時に渡そうと思ってたんだがな。今の機会を逃せば次がいつになるか分からなかったから」

「……みーちゃん。もう好き。大好きだよ。未来永劫一緒だよ」

「私も! お兄ちゃん大好き! 私、来世でもその次でもお兄ちゃんの妹になるもん!」

「相変わらず重いな。……だが、まあ。ありがとう」



 今くらいはその重い愛を受け止めておこう。……自分で考えて恥ずかしくなってきたな。


「そういえばみーちゃん……その。あんまり聞きたくなかったんだけど、お金とか大丈夫なの?」

「ああ。気にするな。今から三ヶ月、家事洗濯掃除をするからお小遣いが欲しいと言ったら貰えた」



 ……最初は母さんが『こういう時くらいは頼んなさい。お金くらいあげるわよ』と言っていたのだが。それはそれでどうなのか。かと言って、バイトをして給料を前借りする訳にもいかないし……と悩んだ結果こうなった。


「オチがダサくて悪いな。本当ならバイトでもしたいが……すぐには見つからなくてな」

「ダサくなんか無いよ。みーちゃんはかっこいいよ。すっごく」

「そうだよ! お兄ちゃん、かっこいいもん!」

「うん、そだよ。普通の男の子じゃ出来ない事やるもんね」

「はい! 未来さんはすっごくかっこいいですよ!」



 皆の言葉に思わず苦笑してしまう。


「ありがとな……さて、それじゃあ二人も付けるか?」

「あ、お願い。みーちゃん」

「私も!」


 頷く二人を見て……まず、俺は新のバングルを受け取った。


 スリットが入っており、手首を挟み込む形になっている。俺は新の細い腕を取り……


「というか本当に細いな。触れれば折れてしまいそうだ」

「お、お兄ちゃんが折りたいなら……いいよ?」

「良くねえよ。お前の中のお兄ちゃん像どうなってんだよ」

「え……泣き叫ぶ女の子を犯すのが大好き?」

「俺そんな犯罪者だと思われてんの?」


 などと言ったやり取りをしながら、俺は新の腕にそのバングルを嵌めた。


「わーい! ありがと! お兄ちゃん! 可愛い? 犯したくなる?」

「ああ。可愛いぞ。犯したくはならんが」

「えへへ……そんな、今すぐアブノーマルなプレイがしたいなんて……」

「言ってないから」

「てか新ちゃんのめっちゃ可愛くない? え? びびったんだけど。ちょっと見ていい?」

「でしょでしょー! うん、見て! ……星ちゃんのイヤリングも可愛いよね!」


 ……なんか二人が仲良くなってる。いや、今更か。もう新は星に縛られる関係だしな。


「……零」

「ん」


 名前を呼ぶと、零が頷いて微笑んだ。俺はネックレスを零の髪を巻き込まないよう細心の注意を払いながら、零の後頭部の方へ両手を回す。


 その時、俺は思わず息を飲んでしまった。



 すぐ目の前に、零の顔があったから。吐息が触れ合えるほど近く。……あと数センチほど位置を間違えればキスが出来るほど。


 ……やっぱりめちゃくちゃ可愛いな。零って。


 その時、零の顔が変わった。


「……! チャンス!」

「待っ――」



 この状態からだと避けられない。俺は動けずにいると……










 頬に柔らかい感触があった。


「……へ?」


 すぐ目の前には零の顔が。……俺は、零にキスをされていた。……頬に。


「……今絶対未来君のファーストキス奪われたと思ったんですけど」

「私も」

「ボクもです」

「俺も思ったけど零の信用ねえな!?」


 と、そう叫んでも零は離れない。


「あの、零さん。長くないですか?」

 そう言ってやっと、零が離れた。


「ついみーちゃんが美味しくて……食べていい? 一噛みだけだから」

「許すと思う?」

「はむ」

「問答無用でやるならなんで聞いたの?」


 俺の頬が零に食べられた。……本気で噛んでいる訳では無い。甘噛みだ。


 ……なら良いか。さっさと付けよう。


「……えぇ? なんで未来君平然としてるの?」

「零ちゃんずるい! 私もお兄ちゃんのお兄ちゃんパクってしてぺろぺろしてぴゅっぴゅさせたい!」

「おかしい擬音が聞こえたな今。……零。終わったぞ」

「はむはむちゅるちゅる」

「いつまでやってんの? 俺本当に捕食されるの?」

「むぅ……しょうがない」


 そうして零が離れた。


「……ふふ。どう? 似合う?」

「情緒どうなってんの? ……って言いたいが。似合ってるぞ。零の大人っぽさが引き立って」

「ふふ♪」


 零が嬉しそうに微笑んだ。それを見て、俺も微笑む。


「やば……零ちゃん可愛い」

「未来さんも零ちゃんに一番似合うのを選んでますね。すっごい似合ってますよ」

「うん! 零ちゃん可愛い!」

「ん、ありがと」



 ……そうして、次に四人が改めてお互いのプレゼントを見せあった。楽しそうで何よりだ。


 その後、少し時間を置いて祝勝会が再開された。とは言ってもお菓子パーティーなのだが。


「ふふ、みーちゃん。ジュースもあるから飲んで」

「ん? ああ。ありがとう」


 コップに零が缶のジュースを注いでくれた。俺はそれに口を付ける。


 ……? 不思議な味だな。でも美味しいな。


「……これ、なんのジュース……だ?」

「ん? これはね…………あ」



 ……? どうしたのだろう。






 あれ? なんだ? 頭が少しふわふわしてきた。


「……やばい。これ、お酒だ。間違えて持ってきちゃった」

「お酒!? やばいよ零ちゃん! お兄ちゃんにお酒を飲ませたら……!」


 ……お酒? おさけ? ……まあいいか。



 俺は零へと近づき――





 ……そこから先の記憶は俺には無い。ただ、何かふわふわした物に包まれたような……そんな幸せな夢を見ていた気がした。

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