第4話 夢が重なり
二人の部屋。決して広くはない少しだけ錆びれた2DKのアパートで2人は本を読んで笑い合っていた。ベッドで寝そべり彼が私にくっついている。窮屈なはずが心地よく暖かかった。気持ちは花畑で仰向けになっているのときっと同じくらい晴れやかだろう。幸せを夢で体現しすぎて起きると泣いていた私はより一層自分を可哀想に思った。所詮夢だから。
私が先生に夢の話をすると先生はなぜか私を可哀想な目で見つめた。少し間が空いたのちに先生は「その相手は君を傷つけるよ」と言った。悲しかった。こんなに勇気を振り絞ってドキドキした話をしたのに先生は私の恋心を一言で踏み躙った。悲しくて悲しくて笑えてきた。自分が悲しくなると笑う癖は小さい時から変わらなかった。親に怒られたとき、幼稚園で喧嘩をしたとき、学校に上がって先生に怒られたとき、痛いとき。笑っても解決しない。わかってるけど笑ってしまう。辛くて辛くてどうしようもない時ほど口角は上がり笑ってないといられなくなる。笑う事でより叱られることも多々あった。でも治らない。私の笑顔は悲しければ悲しいほど美しく煌る。涙よりも光り輝く。
涙なんて枯れたのかもしれない。
もう涙腺が仕事をしなくなっているのかも。
泣き方を忘れた私は泣くまで待ってくれる人を探していた。私の母親は私を殺した。泣かなかった私を。泣けなくなった私を。
先生は待ってくれた。私のリストカットにはきっとずっと前から気づいていたのに私が言うまでずっと待っていただろうな。泣き方を忘れた私に本当の笑顔を教えてくれて、涙を思い出させてくれた。本当に大好きで愛している。
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