僕が僕である意味。

@kamineko02

歩く

僕は、あと数時間でここから去ります。

なぜか、悲しい。そんなことはないはずなのに。

皆と会えなくなるわけでも、死ぬわけでもない。なのになぜか悲しい。

誰かの役に立てなかったとかそんなことでは全くない。役に立つための手段のはずなのに。

さようならなんて言葉は似合わない。だって、また会えるのだから。そう考えている。

夜空がとてもきれい。失ったものが多すぎて数えきれない世の中そんなのは、通過儀礼にしかならない。

けど、これから新しい人生を歩まなきゃならない。

自分のため、みんなのため、立ち上がらなきゃいけないのに、今は一人。多分それが悲しいんだろうと思う


夜空を見ると、今まであったことが一つ一つの星のよう。


そんなことを考えながら、砂浜を歩く。

最初は、失ったものだけを数え足を止め、それでも誰かのために前に足を進める。

そんなのは、つらい。

歩き、止まりを繰り返していくうちに、何かを見つけられるんじゃないか。そんな考えをしながら前に歩く。

友達を失い。親を失い。そんな世の中が嫌になる。だが、また新しい仲間を作り忘れていく。

忘れることは、悪いことだけではない。だが、忘れるということは最大の罪でもある。

胸にしまい込んでいた、感情も忘れてしまえば同じことをする。進歩なんてない。

わかっていても、忘れるし同じことを繰り返してしまう。

楽しい世の中だけでは前に進むことはできない。

そう考えながら砂浜を歩く。一歩また一歩。誰かのために自分のために。

ただ、悲しい。

なぜか、わからない。


誰かのために歩んでいるはずなのに、自分のために歩んでるはずなのに理解されず、和解もできず。


叫んだところで、だれもいない。

あと少し。あと少し。

そう考えながら、僕は歩く。


こうならない手段はあったのか、今思いついたところで、何の役にも立たない。知っている。考えなくていいはずなのに考えてしまう。

過去は、変えられない。変えちゃいけない。

受け入れなきゃいけない。けど受け入れられない。

一歩また一歩と歩く。

考えないようにするために。サヨナラを言わないために


僕はそれが正しいと思っている。

・・・・


最初は、こんなこと来ないと思っていた。

捨てるつもりで、約束をした。


自分の生きる意味なんてなかった。価値も見いだせなかった。

けど、進んでいくうちに意味を見つけることができた。

最初は、ゲームでの出来事だったはずだった。

僕は、ゲームの世界で同じような仲間とワイワイ過ごす日々。みんなは、現実と向き合いながら忘れるためにゲームというコンテンツをやっている

僕はそんな世界に現実を求めた。間違えだったんだろうな。

そんなことを考えながら一歩。


そこでの出会いは、楽しかった。みんな優しいし楽しい。けど、どこか違うところにいるみんなをうらやましく思う。

できないことをできないで終わらせないような、そんな感じ。

楽しいはずのゲームで、みんなと違うところにいる自分が、疎ましい。

楽しいはずなのに、楽しくない。


皆で、クリアーしたときもやったーとはならない。

なんでだろう。

これが現実、感情って何なんだろうって何度も考えた。

悲しい苦しいは、痛いほど知っている

けど、うれしいや楽しいはわからない。

なんでそうなってしまったのだろうか。みんなが思う楽しいを共有できない。みんなが思う苦しいを共有できない。

自分が一人であることをみんなと居ると痛く痛感させられる。

友がいないわけでも、好きな人がいないわけでもない。なのに、いつも一人である。

一歩、また一歩

歩くと苦しくなる。

苦しい現実は、歩みを止めてもやってくる。

楽しくないのに、なんで歩かなければならないのだろうか。

届く距離にありながら、それをとることができないのだろうか。

また一歩。

助けてほしい。そんな言葉は誰にも届かない。痛みは時をかければとよく言うがなぜか時がたっても言えることのない傷のよう。

深く傷つけられた記憶は時がたっても、覚えている。好きだった人に裏切られた気持ち。大好きだった叔父をなくした気持ち。

なくなってしまったはずなのに、なぜかそこに傷はある。

やめてほしいぐらいに覚えている。

人の心は、永遠と苦しい記憶をしょうことはできない。

だから歩く。

そんな気持ちを、ほかの人に与えないために。

どんなことをしても、絶対に自分がしないとは言わない。

自分が前を向いていれば、助けられた人もいるだろう。

けど、助けるばかりではその人は助けられない。

歩きを止める。

どうしたらいいのだろうか。自分が助けてほしいから助けるのか、助けたいから助けるのか。

歩くのは、疲れる。時として辛さが外に漏れることもある。

そんな時はどうしたらいいのか。

また一歩歩き始める

人の気持ちは前にある。だから歩く。

だから、歩く。いたくてもつらくても。きらいでもすきでも。

歩かなきゃいけない。止めたら、自分ではいられなくなるから。誰かのために歩く。そうすれば、きっといつか傷がいえるから。

どんなに跡が残る傷でも、痛さはそのうちに無くなる。見れば痛い傷であっても。考えて考えてつらいと逃げることは悪いことではない

だから歩く。

優しさは誰かのために。優しくされるのは自分のために。優しくされたいのであれば、自分がまず一歩前に進まなければならない。

だから歩く。

苦しさを乗り越えるために、苦しみを知る。

つらい、悲しいはその人を強くするためにある。

だが、与えられるだけで満足はしてはいけない。

だから歩く。

私は、あなたの数時間前にいます。だから歩く。止まらずに。

苦しいなら追いつけ。楽しみを知りたいなら追いつけ。 これはあなた

私はつらくても、前で待ってます。だからあなたも歩いてください。

僕はあなたの前で待ってます。だから、あなたも歩いて。一歩でもまえに。

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