最後の装飾 ①
Instagramに写真作品を投稿する際に最後につけるタイトルと散文詩です。写真に閉じ込めた世界に最後の贈り物。限定的な場所にしかなかった詩を拾い集めました。此処にしかない標本です。
【世界の箱庭 冬】
海のかけらと森のかけら
かつては共にあったもの
世界はひとつの箱庭の中
【Piece of House】
歳を重ねていくごとに
質素になってくケーキ
豊かに育つ家族の幸せ
【境界線】
此処から先は 護られる場所
よくぞ無事に 帰ってきたね
【波に手向ける】
あの日の足元を攫った波が
また帰ってくるはずの場所
【世界を切り取る】
かしゃりと やわらかい音
かしゃりと 景色を切取る
かしゃりと 世界を残す為
【試作品】
今日の君は面白くない面白くなりようもない
この手で責任をもってちぎり捨ててあげよう
さようならさようなら次は面白く生まれろよ
【収穫祭】
芽吹く 摘む 戴く 育てる 命がめぐる
【波打ち際】
海に浸る 心を溶く ゆっくり 揺蕩う声
【激情】
恍惚と怒りと 絶望と慟哭と
【指先に描く】
指を彩る黄金螺旋が告げる
お前の夢には終わりがない
安心していい共にあるから
【錆の記憶】
冷たい錆の香りに あの頃を思い出す
ただ身体を揺らし 笑っていたころを
【骸と踊る/枯葉のワルツ】
枯葉が風に揺れる 生命が在った痕跡
弔うように揺れる 影が優しく揺れる
最期を迎える瞬間 死神と踊るワルツ
【毎夜観る夢/月面にて】
あそこに居るんだ そういう約束だ
そうだ「此処」が 待ち合わせ場所
夢の続きを待とう 最も近く遠い夢
【命の水】
躍動 鼓動 情動 拍動
【古代の王様】
何億年過ぎようと海に揺蕩う
誇りは未だ変わらぬ海の王様
【僕は此処から】
更紗となって海へ行く、君の成功を願ってる
はじまりと歴史はすべてこの波打ち際にある
【僕の理想郷】
いつだって此処にいる
全部の僕が愛した海よ
【癒しの時間/浄化の霧雨】
憑き物が落ちたような
軽くて優しい口当たり
汚れもすべて落ちてく
【盛衰/枯/手向け】
ゆっくりとこれから死んでいく姿
最後まで守られるのは生命の意義
死んだ樹木に手向けた桃色の花弁
【はじめての旅】
今思えば自信などなかった
ようやく自信がついてきた
【馬か鹿か】
ものをつくるのなら馬鹿のほうがいい
あらゆる常識に縛られずに創れるよう
この手からもれなく生み出されるのは
まさに馬鹿馬鹿しいことこのうえなく
まさに美しいことこのうえない神秘だ
【あの夜の話】
僕らは歪んでいた 僕らは溺れていた
僕らは恐怖だけを 欲してばかりいた
【暖かい手】
温もりに満ちた掌 厳しく優しい友の
柔らかい指で紡ぐ 些細なメッセージ
【息】
息も抜けない世の中じゃ
詰まってしまう心までも
【密色水面】
どこまでも 暖かい色 澄んだ瑞色
【結婚記念日】
小さな指輪からはじまって
中くらいの腕輪をつくって
大きな愛情ができあがって
【甘味に浸す】
ほかのなにひとつとして
付け入る隙もないように
只管甘味に甘やかされて
【街灯】
世界のどこか 東の街に照る
太陽のような 月光のような
【川辺の花】
火花が咲く 笑い声と共に
若人が行く 笑い声と共に
【月影アプリコット】
暗闇に包まれていく場所
舞台の板が世界を分かつ
現実と虚像とが隔離され
けれど確かにここにある
月光は照明で人影は闇だ
人が必ずもっている両面
さあすべてをご覧下さい
知った気にはならないで
舞台の袖や裏まで喝采を
【カイジュウ】
怪獣 海獣 懐柔 海住
世界の大海を航海中
【褒美の在り方】
僕はいいから君が食べて
そして君が笑ったとこを
僕に見せて欲しいと思う
【宵の際】
此方へおいで すべてを置いて
此方へおいで いまだけおいで
影に潜むのは 君の味方だけだ
【混沌】
なにもないとおもうひと
なにかあるとおもうひと
ほんの一筋違えただけで
笑い声の向きまでかわる
【宝探し】
ほんの小さな 気づきでいいの
ここに喧騒もない 焦燥もない
「好きこそ ものの上手なれ」
好きだからこそみつけたもの
一息ついたら、こちらの世界
【音人】
なんて天職 なんて才能
なんて技量 なんて絶景
なんて光栄 世界の創出
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