第6話
目が覚めると、そこは白い天井。
といっても浴室ではなく、
「びょう、、いん?」
「アキ!」
目を覚ますとそこには、赤い魚の頭でもなく、赤い魚そのものでもなく、
人間としての唯愛がいた。
「やっと目を覚ましたのね!」
「目を覚ましたって、、、?」
「アキ、ずっと寝てたのよ!病院に運ばれてから。途中うなされてるみたいな言動はあるけどはっきりしなくて!身体痛いよね?大丈夫?」
そんな痛みはなかったが、腕には点滴が打たれていた。
あれ、今日はいつだ?仕事は?そう思うとうかうか寝ていられない。
「唯愛、今日何日?」
「今日は水曜日よ。」
「仕事行かなきゃ!」
「バカ、何いってんの?そんな体で。職場にはちゃんと伝えました。もうやめるって」
「バカ、逆に何いってんだよ。そんなこと勝手に!」
「勝手にって何よ、自殺未遂したくせに!」
「自殺未遂???」
「そうよ!土曜日にバイト後にアキの家に行ったら、アパートの前で血を流してアキが倒れているんだもの。部屋の窓は少し空いていたし、テーブルのお酒の量も多かったし、本当に心配で心配で。目が覚めなかったらどうしようって、、、」
唯愛はポロポロと涙をこぼしていた。
黒いTシャツから伸びた細い腕は、膝の上でギュッと握り拳になっている。
もちろん、彼女はジーンズのショートパンツを履いている。
「唯愛、、、好きだよ。」
バカ、なんでそんなこと言ってるんだよ。
でも口から出た言葉には嘘はなかった。
彼女がたまらなく愛おしくて、
どうしようもなかった。
「私だって、、、好きだもん、、、好きじゃなかったらこんな心配しないんだから、、、」
「ありがとう」
そういうと、また僕は睡魔が来て寝てしまった。
その時に見た夢は、ちゃんと人間の姿をした唯愛と遊園地に行く夢だった。
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