二枚貝

A-1

終わりを告げるように 欠けだした白銀の月

零れ落ちてく星屑は

渇いた風に吹かれて


B-1 

半歩ずつに開いた距離を

埋めようと

足早に駆け出すの

不器用なステップ


二度と夜が明けなくても

青い蝶、舞うように

嘘をつく

なんて、できなくて


S-1

この手にあるものは

熱を帯びてく神話

高らかに、詠いあげ

輝きが海に降り注ぐように

眼差しは銀のように 


愛しさがゆえ、

哀しみだけ砕け散って

包まれていく


私は君を、身籠る二枚貝


A-2

忘れ去っていくように薄れゆく白銀の月

昇り始める朝陽は

ねぇ、どうして愛語るの


B-2

片方だけの靴で

歩いていけば

砂のなか埋まって

深みに嵌る


二度と会うことはないでしょう?

青い蝶、舞うように

美しく。

羽ばたいて


S-2

この手にあるものは

熱を帯びてく神話

鮮やかに染め上げて

片時も離れ得ない淋しさは

夏に咲く花のように


想い出だけが

痼りのように

真珠となって残り続ける


私はここに、とどまる二枚貝


C

風が火照った感傷を

痛いほど冷ましてく

いまもまだ鳴り響いているだけ

最後の日の海鳴りに

まだ、

私は怯えてる 君が与えた言葉

拾いあげて、

夢を見てるの


S-3

この手にあるものは

熱を帯びてく神話

高らかに、詠いあげ

輝きが海に降り注ぐように

眼差しは銀のように


何度でも

熱を帯びてく神話

鮮やかに染め上げて

片時も離れ得ない淋しさは

夏に咲く花のように


想い出だけが

痼りのように

真珠となって残り続ける


私は君を、身籠る二枚貝

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