今日の何処かの誰かの何か

白悟那美 破捨多

第1話

ウィーン

「いらっしゃいませー」

「えっと、あれどこだったけなー」

コンビニに入った客を商品棚の影から監視する謎の影がある。

「俺の名は斎藤さいとう火利かしゃ、万引きGメンを初めてから、何気に12分しか経っていない男だ。

さっき入ってきた高校生だが、最近このコンビニによく出入りするが何も買っていないのだ。恐らく万引きするために経路などを見に来ていたに違いない」

男がそんな考えをしているその時、高校生の客が何かを手に取りカバンに入れた。

「今だ!」

「よし、それじゃあゲーセンでもいこうか」

「ちょっとそこの君!」

「は、はい!」

「ダメだよ、お兄さん万引きなんかしちゃ」

「え?いやあの僕は」

「言い訳したって無駄だからね。俺全部見てたんだからね!」

「いや、だからその」

「大体、最近の子ってのはなんで万引きなんて事を」

「あ!あの!」

「ん?なんだい?言っとくけど言い訳したって無駄だか」

「僕がカバンに入れたの、貸出してるポケットWiFiなんですけど」

「.............え?」

「勘違いさせちゃってすいませんってえーーーーー!!!何してるんですか!」

「見ての通り観音菩薩土下座かんのんぼさつどけざだよ!」

「いやいやいや!確かに間違ったのはそっちですけど、何もそんな事しなくても!」

「いーや!これぐらいしないと私のプライドが許さないんだ!」

「ちょっと!他のお客さんの迷惑になるので外に出て貰えませんか?警察呼びますよ!」

「あ......はい」

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