第90話

 「よいっしょっと」

 

 緩奈は情けなく倒れていた俺を椅子ごと元に戻した。


 「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」

 

 椅子に縛り付けたのはおそらく緩奈だというのに、緩奈は心配そうに尋ねてきた。


 「・・・もしかして、何かした?」

 

 「、何もしてませんよ」

 

 まだって、これからする気なのか。


 「どうして、こんな事を」

 

 そこまでしてでも、おっさんと付き合いたいのか。と心底疑問になる。

 

 「「どうして」って。卓也さんが悪いんですよ。私だって、出来れば相思相愛の方がいいです。だから、出来るだけ、卓也さんに寄り添うようにしていたのに。結局、最終手段を取らざる負えない事になりましたけど。これだけは言わせてください。本当に私は卓也さんの事が好きで無理やりにでも付き合いたいと思っているからこういう行動にも出たんです」

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