第52話

 「さっきはお金出されちゃったけど、晩飯くらい奢るから」

  

 そう店に入る前にいう男。

 私は今回もお金は割り勘しようと思っている。

 この男に奢られたら、後が怖い。

 

 「・・・居酒屋・・」


 「うん?何か言った?」


 「いえ、何も」

 

 男が晩御飯に選んだ店は、居酒屋であった。

 もしかして、私が女子高校生という事を知らないのであろうか?

 

 「あの、私。お酒は――」

 

 「うん?あぁ。まだ飲めないんだろ」


 「(マジ)」と思う。

 お酒を飲むことが出来ないのを分かっていて、晩御飯を居酒屋にしたのか。

 

 「心配しなくても大丈夫だよ。最近の居酒屋は子供と一緒に来た時の為、メニューが豊富だから」


 「・・・・」


 別に食べれるものを心配している訳ではない。

 相手が、お酒を飲めない人間であるのに、もっと考慮した・・・って、この男に期待しても仕方ない。

 さっさと晩御飯を食べて、デートを終わらせよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る