第23話

 「はい。あーん」


 次の分のおかゆを俺の口元へと運ぶ、緩奈。その途中で寝室の扉がいきなり開いた。

 

 「お父さん。何やってるの!」

 

 「え?!熱っつ」


 びっくりした緩奈がおかゆをこぼして、俺に落ちた。

    *    *    *    *

 場所を寝室からリビングに移した。話し合いをする為だ。


 「父さん。この子がどこの誰か説明して」


 終わった。

 俺の人生は終了した。

 平凡で幸せな人生だったんだけどな。一体どこで、踏み間違えてしまったのであろう。

 家族との思い出が走馬灯で出てくる。


 「卓也さんは体調が優れていないから、私から説明しますね」

 

 娘に問い詰められ、オロオロと何も言えなくなってしまった俺の代わりに、緩奈が話し始めた。

  

 「私が、卓也さんの事を脅して恋人ごっこをしてました。すいませんでした」


 「「え?!」」

 

 娘と俺、二人して緩奈の言葉に驚いた。

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