第22話

 私は数十分悩みに悩んだ結果、こっそりと家へと入る決意をした。

 玄関の扉を開け、家に音が出ないように最小限の動きをした。

 そして、騒がしい方へと向かう。

 着いた場所は、両親の寝室だった。


 ・・・まさか。


 私も中学生だ。それがどんなにいけない行為なのかは、分かっている。

     *     *    *     *

 「はい。あーん」


 「・・・・」


 女子高校生に飯を食べさしてもらっている。


 「卓也さん。どうすか?美味しいですか。上手くできていましたでしょうか?」

 

 おかゆは、とても美味しかった。

 昨日の体調が悪くなった時点から何も食べていなかった、俺には丁度良かった。

 

 「・・・まずくはないよ」


 「そうですか。よかったです」

 

 正直に美味しいとは言わなかったが、緩奈は俺の返事に喜んでいた。

 ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、緩奈が家に来たのに感謝してしまった。

 その感謝も次の一瞬で後悔に変わるなんて思ってもいなかった。

 この後、数分後に娘の美喜が寝室に突撃してくる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る