釣り好きの少女が人気ゲームをやったら恐ろしく強くなりましたー

@Lemonginger

第1話 釣り少女とゲーム

「よーし今日はこれくらいでいいかなーー」


渓流で竿を片付け帰る準備をする少女が一人

主人公の「小瑠璃」である。


手際よくニジマスを保存BOXに片す。

その動きは正にベテランといった感じである



家に帰宅すると友達の「木乃花ちゃん」が来ていた。


「悪いな、あがらせて貰ってたぜ。」


木乃花ちゃんがテーブルの前で律儀に正座をしながら声をかける


「もう、もっと楽にしてていいよーー。もしかしてずっっと正座して待ってたの?」


「いや、今来たばっかだから。」


木乃花ちゃんは見た目はギャル風、

言葉使いも悪く、いかにも柄が悪そうだが

とても優しく、律儀な友達だ。


「お母さんが1時間前に来てたっていってたけど・・・まあいいかー。今日はどうしたの???釣りならもういっちゃたけど・・・またこれから行く?」


結構頻繁に二人で釣りに行ったり出かけるので今日もそれだと思ったのだ。


「あーー。いや、そういえば小瑠璃ってゲームとかに興味なかった・・よね?」


言いにくそうだな木乃花ちゃん

どうしたんんだろう?


「うーん。あんまりやったことはないかな。最後にやったの「田もごっち」を友達に貸して貰った以来だったかなー」


「そうか、そうだよなーー。いや私のとこの祖父がなんかゲームの機械送ってきてさー。福引きで当たったらしいんだけど自分はやらないからって。」


そういって後ろからヘッドギアのような機械を二つ取り出す。


「え。それって今凄く流行ってるやつだよね」


「あーそうみたいだな。昔からあるゲームなんだけどこれが最新の機械らしい」


ヘッドギアには「バードオンライン」と書かれている

ゲームをやらない小瑠璃ですらその存在は知っている。


実際に自分が異世界に入ったようにゲームできることから発売当初からもの凄い人気を博した。今では仮想通貨やNFTとも連携できるため企業等もゲームに参加しておりビジネスマーケットになっているところもあるという。


「・・・で、だ・・・その。。なんていうか・・・小瑠璃、いっしょにやらない?」


「やる!!」


木乃花がびっくりしたように驚く

まさか即決されると思わなかったのだろう


「。。え、やるの?聞いておいてなんだけど。小瑠璃ってゲーム嫌いじゃなかった?二人分あるし友達とできたら嬉しいなって思ってたんだけど。楽しいかはわからないよ?」



「そんなことないよー。ニュースでも良く聞くからねー。1回くらいやってみたかったんだー。一人ではやらなかったかもしれないけど木乃花の頼みとあっては断れませんからのーー」


「よし。さすが、小瑠璃おばあちゃん!早速やろうぜ。いやーー絶対断られると思ってたからさー嬉しいなーー。ほい。これ付けて」


バサッと行き成りヘッドギアを小瑠璃にかぶせる。


「ちょっと待って。行動が早い早い。説明とか何も聞いてないんだけど」


「じゃあ行くよー」


テンションが上がりきった木乃花がそのままスタートボタンを押す







ブーーーーーン。



しばらく読み込みの音が聞こえていたが突如目の前にステータス画面が現われた


STR

VIT

DEX

AGI


など書かれていた。


「へーーー凄いなーー画面が宙に浮いてるよーー。」

どうやら木乃花はいないようだ。

個人情報なので別々の画面になってるのかなーー?


「あ。ここに名前を入れればいいのか」


えっと。


「コルリっと」


普通に本名を入力していく


「えーと何々。ステータスを割り振ってください?きっとこれのことだよね。何が良いのかよくわからないしなーーー適当でいいっか。」


一番初めのSTRの文字を押すが変化がない。

本当はその横にある△のボタンを押してあげるのだが。


ゲームなどやったことのないコルリは知らない。


「うーーん。スクロールするのかな。あ。下に何かあるみたい」


ステータスの画面は無視して

たくさんのスキルの画面が出てきた。


「購入特典としてスキルをひとつだけプレゼントします。へーー何がいいかな。あ!!これにしよ。」


迷うことなく「釣り」のスキルをタップする。




「それではチュートリアルを開始します」




コルリが降り立った場所は草原だった。

緑が地平線まで続く。


「うわーー凄い本当の世界みたいだ。よっと」


ジャンプしたり、前転したりしてみる。



「凄いなーーー本当に自分の体とかわらないみたい。ん?なんだろう?あれ。」


前方から行き成りイノシシのモンスターらしき物体がこちらに向かって来る




「これより疑似戦闘を開始します。画面左にある攻撃ボタンをおしてください」


機械的な音声とともに攻撃ボタンが光る


「あーーーーやっぱり。ここ凄く良い釣り場だよーーー」


コルリはモンスターではなく500mくらい先にある木陰に隠れた小川に一目散。


こういうときのコルリは理解力が凄い。

あっという間にスキルの釣りから初心釣りセットを見つけたかと思うと

すでに糸をリリースしていた。


「ブモーーーーーーーーーーーー」


戦う相手が構ってくれず虚しく草原で佇むイノシシさん

襲いたくてもチュートリアルなので規定範囲しか動けない!


「ヒット!!!あーー。ヤマメだーーー。綺麗!!!」



「フィールドから外れております。攻撃ボタンを押してください」


機械的な警告音が流れる。


「え。凄。!!!!このイワナの斑点初めてみたんだけど!!!」


まったく耳に入らないコルリ。

ドンドン釣り上げて行く。


「・・・・・・」


規定回数に達しもはや無言になってしまったイノシシさんと音声さん。


「む。!!これは!!」


やっと気が付いた!!わけではなかった。


竿が今にも折れそうなくらいピンとしなる。

コルリが機敏に動く。


久しぶりの感じだ。これは絶対大物だ。

一瞬でも気を抜いたら竿を折られる。


コルリの顔に汗が流れる。

慌てない。慌てない。よーーーし魚さん。根比べだね!!!!!!!!!



それから魚とコルリの一進一退の攻防は実に1時間も続いた。


「ザバッッツ」


ついに決着が付いた10mを超える魚が岸に流れ付く。


「魚さんやるなーー。ベスト20には入る攻防だったよーーこれ何ていう魚なのかな?カジカに似てるみたいだけど。大きいなー」


そのカジカが急にコルリに襲いかかって来た。

妙な青色のエフェクトも掛かっている。


「え、何。何?、あ!!!攻撃」


そこで初めて気が付いた攻撃ボタンを押す


ドーーーん


もの凄い爆発音と共にカジカが光りの粒子となって消えて行く


「か、カジカさーーーん!!」


うう、せっかくの釣果だったのに。

後で木乃花にも見せようと思ったのに・・・木乃花!!


「しまったーー。木乃花とゲーム中だった。待たせちゃったかな。」



「チュートリアルを終了します。初めの転移先は「始まりの街」です。それでは良いゲームライフを」


「あ。よかったこれで合流できそうだね。」


そのままコルリがチュートリアルの場所から消える

そこで後から音声が流れてきた



ピコン


「ゴットフィッシュ」を手に入れました。








「あ、こっちこっち遅かったな。何かあったのか?」


噴水の前に木乃花がいた。


「いやーー釣りに夢中になっちゃって。ごめんごめん」


「釣り?ん?コルリもうどこかのフィールド行った感じ?」


「えーーやだなーーチュートリアルだよ。木乃花ちゃんのとこにもあったでしょ小川みたいなの」


「いや。イノシシは来たけど。小川なんかあったのかな?気が付かなかったわ」


「えーーイノシシなんていなかったよ。もしかてそれぞれで違うフィールドなのかな?私は釣りのスキルを取ったからとか?」


「そんなことは聞いたことはないけど、かなり広い世界だからな。てか釣りのスキルなんてあったのか。コルリは相変わらずだな。私は「魔法」のスキルを取った。ほら」


そういってステータス画面を開く


「木乃花ちゃん名前「ウインドウ」なんだね」


「「魔法」の方を見てくれよ。コルリは本名で名前入れたのか。カタカナだから大丈夫だと思うけど。あんまり個人の特定に繋がるのはやめた方がいいと思うぜ」


「わかったーーコノハちゃん。」


「うん、全然わかってない感じがいいね。もう私もコノハでいいか。じゃあさっそくフィールドに行ってみようぜ」



二人は始まりの街の森に来ていた。

「そうだ、コルリこれ装備しとくといいよ。時間があったから冒険セット買っといた。」


ポーション5個と木の棒を出す。

「いくらしたのこれ、私もちゃんと払うから。」


「大丈夫、大丈夫たいしたもんじゃないから。一緒にやってくれるお礼。」


コノハの残金はすでに0に近いGだったが普通通りに振る舞う

その表情を読み取ったコルリは余計に感謝する


「本当にありがとう」


「それより装備は付けとけよ。木の棒もSTR+1だけど結構重要だから。そうそうこれで装備したことになるから・・・おっ丁度良くイノシシが来たぜ。まずは私がやって見せるから」


向こうから馴染みのイノシシさんが3体突撃してくる。


「スキル「魔法」」」


コノハから出た緑の球体がイノシシへと当たると瞬く間にイノシシは粒子になって消えていった。



「凄い魔法だったね。初めて見たよ。」


「私もかなりの威力に驚いてる。特典で選んだんだけどやっぱり強力なのかも?それとこれこれ」


イノシシが消えた辺りにある水晶を拾う。

「モンスターを倒すとアイテムとか落とすから見てみると良いよ。はいあげる。」


「え。いいの?ありがとう。よーーしじゃあ今度は私の番だね張り切っちゃうよ。」


「大丈夫?危なくなったら遠慮なくいってくれよ?」


イノシシが5体コルリの元へやってくる



「攻撃攻撃、あこれだ!!召喚ゴットフィッシュ」



そこからの出来事を見たコノハは後に語る

あれは悪魔の序章に違いない光景だったと。


辺りが急に暗くなり前方に恐るべき10mの魚の怪物が現われた。

怪物は恐るべき勢いでイノシシを蹴散らし辺りの森をヒレで根こそぎ破壊して遙か彼方へと消えていった。


辺りにはまるで広場のような空間が山の彼方まで続いている。

イノシシさんは完全にオーバーキルだ。


そんなことはお構いなしにコルリが水晶を持ってくる。


「はい。これお返し。」


「え。いやいや。ちょっと待って!何?今の怪物?何かどこかのラスボスみたいな雰囲気のが急に現われたんだけど。」


「コノハも見た?よかったーちゃんと道具箱にあったよ。これカジカ君っていうんだけどね。私が釣ったんだよ。どう結構大きいでしょ。苦労したんだ。」






その日の夜。専用の掲示板が荒れていた



賢者くん

なあ。始まりの森で「謎の隕石衝突」があったって知ってるか?


ななし

なにそれ。詳しく


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