サポーターになりました。
もやしずむ
第1話 これからは君らのサポーターだ
この先、命が
あの頃のことを忘れんだろうな。
でも‥そのおかげで今があるんだろう。
『な、ーーーーーー』
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
「前々から言っていたけれど、そろそろ店
を畳もうと思ってね‥‥君も高2だろう?
少しだけど退職手当的なものも出すし、
本当に勝手ですまないね…。」
『エ‥‥?』
確か60くらいだったかな店長、最後まで優
しかったなぁ。
あんな人なかなかおらんだろうなぁ。
家の事情でやってたバイト、辞めることになったとさ。
『いろんな意味で終わっちまったな。』
水気のない独り言が空気中に散布する
『はぁぁあ‥‥‥‥。』
もちろん、ため息とセットで‥‥。
うわぁどーしよ、この辺で雇ってくれたの店
長だけだったのにな‥‥。
他に雇ってもらえるとこなんてもう無い
だろう。
あーーーー、妹になんて言えばいいんだ。
母さんにも迷惑かけらんないしなぁ。
英語の課題も終わってねえし…。
ファッ!? 明日提出の数IIワークもやってねぇ‥お先真っ暗かよ‥‥。
んなことを考えている内に玄関のドアノブを握っていた。
『ただいま‥‥‥』
「おかえり~、お兄ちゃんどしたの? な
んかすごい元気ないけど‥‥。」
『い、いやっ! なんもないぞ、ただ疲れ
ただけだ。』
「そっか、お疲れ様。いつも頑張ってくれ
てありがとね!」
『あ‥、ああ! なんてことないぞ‥‥。』
ううっ(泣) お兄ちゃんは嬉しいぞ…!
こんな立派に育ってなぁ、俺には勿体ないくらいだ。
満木
ちなみにけっこうモテるらしいが誰にもやらんぞ。
「ご飯どのくらい食べる~?」
『ふつーくらいで』
「りょーかーい」
こんな優しい妹居る? 誰にも渡さんぞ。
「はいどーぞ」
『サンキュー』
…『「 いただきます 」』
「お母さん今日も遅くなるって」
『そっか、もっと頑張らんとな…』
「ありがたいけど、ほどほどにね」
『んー』
とは言ってるけど今日辞めてたな…。
「やっぱりお兄ちゃん、何か暗いよ?
何かあったんでしょ?」
あかん、顔に出とるらしいですわ。
『そそっ、そんなことないない、断じて!
うん、断じてだ!』
「え~ほんとに~? 怪しーい」
『神に誓ってもネ!』
嗚呼‥‥妹よ。嘘つきの兄を許してくれ。
きっと最初で最g‥‥ではないな。
あの日‥‥。これで二回目か。
「ごちそうさまでした」
『 !? はやっ 』
「ボーっとしてるからだよ。お皿出しとい
て、洗っとくから。」
『あ、いや、たまには俺が‥‥』
「疲れてるんでしょ? 大丈夫だよ」
『あぁ‥サンキュー‥‥。』
……………
やはり天使でした、もう疲れ吹き飛んだかもな~。
さて、家族愛(ただのシスコン?)は一旦置いといて、新たな仕事を探さねば。
ぼふっ………
安定のベッド…最高です。
いかん、寝る前に調べなきゃ‥‥‥
コンコン,,
「ねーおにーちゃーん、ジャン負けアイス
買うゲームしようよ~」
うおっ、ええやん。気分転換にやったるでぇ。たまには妹の悔し顔も栄養素だなw
『「 ジャーンケーン ぽん! 」』
……………………
さて俺は今、近辺のコンビニに足を運んでおります。うん、
ちょうど印刷したい課題もあったしいいかな、桃花も喜んでたし。
ハァ、にしても手に職無しか‥‥ホンマどーしよ。何か稼ぎのいい仕事ねぇかなぁ~、もう臓器売るかぁ? 笑‥‥‥‥‥‥‥。
『 はぁぁあ……………………。 』
きっと人生で一番長かった溜息だな。
そう思ってた時だった、本当に転機というのは思わぬ時に訪れる。しかも急なんだよ。
『張り紙‥‥?』
ほんとに張り紙だった、ふつーに。
なになに~、
【 Team : ゼラニウム 】
〖 メンバー募集中! 私たちと一緒に勝利を目指しませんか? 初心者でも大歓迎です!! (о´∀`о)
気になった方は以下のQRからご連絡ください 〗
ほう、地域のクラブチームって感じか。
多分なんかスポーツだろ、サッカーなりバレーなり‥‥‥いや、ちゃんと書いとけよ!
それっぽいイラストとかも無いし、ヘンだなぁ。ムムっ?
まだ何か書いてあるな。
〖 サポーターも大募集!!
日給5000円~15000円 〗
フムフム...まぁ、サポーターねぇ。
そんなもんか‥‥‥‥!?
んんん? なんか一桁多くない? そんなことあるかぁ?
思わずもう一度見直してしまったが変わらない。
『そんなことあるかぁ‥‥?』
口に出して復唱するくらい驚いたな。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥よし、もう減るもんないよな。やったる。もう半分ヤケだけどやってやるw
なんか笑えてきたわ。疲れてんだな、きつ
と。
だってこんな胡散臭い張り紙、誰も信じないだろ。
あの時はそう思った‥‥‥‥が、
もし俺が過去に戻って一つ出来るなら、
この時の俺をシバきたい…。
『QR~、スマホで~スキャン~w』
あの時はもうノリだったな、だってシ
ョックだったんだもん、色々と。
『よし、これだ。』
なるほどね、黄藤町のスポーツセンター1階会議室に来い‥‥か。黄藤町って俺の住んでる緑元町から少し離れたとこか。にしても、ほんとに何のスポーツだろ? しっかりしてくれよ。
結局分からず終いでサポーターとしての申し込みを送り、その日は家に帰った。
あ、ちゃんとアイスは買ってきたよ。
『4日後ね、当たって砕けろ! だ。』
本日は5月9日(月)、4日後の13日(金)の午後6時半にさっきの会議室で話をつけるようだ。
今日は帰って早く寝よ。
って、英語と数学IIの課題あったな‥‥。
……………………
迎えた当日、いつも以上にきっちり制服を着こなし、髪を整える。さぁ、そろそろ時間か。
腕時計は6時27分を指している。
ううっ‥‥ふぅ‥、緊張してきたな。只今、黄町スポーツセンター1階会議室‥‥の隣部屋のドア前。
半ば諦めを抱えつつも、どこか期待している自分がそこには居た。そりゃ給料高くなったら嬉しいでしょ。
あぁ、もう29分!ここまできたら逃げれんぞ‥‥。
‥あれは‥‥?
ふと顔をあげると高校生らしき女の子が制服で歩いていった。うちの制服と似てるかも、ちょっと身長は低めかな? こういう子もスポーツやってるんだなぁ。
そう思うのも束の間。
「満木さん、お入りくださいー。」
『はいツ!』
うおっ‥‥めちゃくちゃ緊張してんな俺。
高校の面接以来かな、こんなの。
コンコンコン
『失礼します‥』
「どうぞ、お掛けください」
『あ、ありがとうございます‥』
ん、面接するのってこの人‥‥?
どう見ても俺と同じくらいの年齢だぞ! しかも女の子だし、大丈夫か‥間違えたか?
それにこの子‥‥制服? 着てるし、ちょっとうちの高校と似てるか? 何で‥‥。
「それでは面接を始めます。
まずはじめに自己紹介をお願いします。」
『はいっ、満木 桃弥 16歳、今年で高校二年生です。 特にサポーターなどの経験はありませんが、精一杯努めます。よろしくお願いします!』
「ありがとうございます、それでは次に…」
こんな感じで面接が続いていった。
もうヤケだったから途中から緊張はしなくなった。そんなだから特に偽ることもなく、正直に質問に答えた。
「以上で面接を終わります。ありがとうござ
いました。」
『ありがとうございました。』
さてと、帰って結果を待とうか‥‥。
そう思って椅子を引こうとした時
「そうですね‥‥問題なければすぐにでも採用
できそうですね‥。」
は?
いやいやいや、おかしい、
おかしいだろ! そんなの!
やっぱり何か怪しいぞ‥、そう言えば大事なことを聞き忘れてたな。
『失礼伺いますが、チームではどのような
の活動をしているのですか?』
だって何処にも書いてないもんな!
俺の予想ではバレーかバドミントンだな。最近は学校の部活動でも多いようだし。この聞き方なら何か分かるだろう。
「‥‥では活動場所に行きがてら、今後の説明
をいたしましょう。」
何? 今の‥‥、もう怖いんだけど。
俺、やっちまったな。
あぁ‥最後に母さんの手料理を食べたかったなぁ、あと妹の笑顔も見たかった‥。
いかん、冷や汗がとまらない。そしてすーごく気まずいな‥お互いの足音しか聞こえないな。
うわぁ‥‥どうしよう。恐喝とかされんのかなぁ‥‥。
実際、さっきから震えがとまらない。
そう思ったとき
「着きました、ここが活動場所です。
どうぞ自分の手でお入りください。」
うわーん‥この子、ニコォって感じだ‥。
もう腹をくくるしかない。
【会議室】
の札の前の扉‥‥こういうのは勢いだッ!
ガチャ…
「紹介しましょう、私たちチーム・ゼラニウムは‥‥」
「あ! サポーターさんだ!」
「ふーーん‥‥」
「大丈夫~? 笑、もっとつよそぉなの期待
してたんだけどぉ~笑」
「はうぅっつ! もう来てたぁぁあーー!」
「う~ん、新作のタルトおいしい~♪」
「まだまだ、未熟ではありますが‥‥」
「これからよろしくお願いしまーす!」
「………」
「へぇ~笑、からかっちゃおーっと笑」
「ひゃあぁぁあ!コップ落としちゃったぁ
ぁあーー!」
「もういっこだけ~♪」
「みんなの笑顔を守る、魔法少女のチームですよ。」
…………。
は?
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