44.連れ去られる子ども

「どこにいるんだ」「早く出てこい」

追ってくる男たちの声を背中に浴びながら、公園の茂みで息をひそめて隠れていた。

胸に抱く子どもは静かに寝ているがこの騒ぎでいつ起きてもおかしくない。と考えたそばから目を覚ました。見知らぬ場所に連れられていたことに気付いた子どもは火のついたように大声で泣き始めた。

その泣き声を聞きつけた男たちが茂みに近付く。堪らず逃げ出した私は、男たちに連れ去られる子どもを見送ることしかできなかった。

あぁ、また守れなかった。という無念を心に抱えながら。

交番の壁から一枚、張り紙が外された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る