うるえ

貴方

貴方のようになりたいと思ってた

貴方はずっと 私の憧れだった


でも どれだけ真似ても貴方のようにはなれなくて

貴方の背中は私が走れば走るほど 遠ざかった

伸ばした手は 虚空を切った


苦しくて こんな沼から早く抜け出したくて

もがいてももがいても 首はじわじわと締まっていった


貴方はいつも 私とは違って輝いていた

その笑顔に憧れていた そのはずが

いつしか貴方の輝く笑顔を見るのが 辛くなった



身勝手な嫉妬に狂ったみにくい獣はある日 全てを捨てた

薄っぺらなプライドも 貴方のようになろうとすることも


全てを捨てた獣はふと 池の水面に写るの見た

貴方とは似てもつかない けれど爛々らんらんと光り輝く 自分の姿を。

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うるえ @Fumino319

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