孤島いき
バブみ道日丿宮組
お題:誰かと孤島 制限時間:15分
沈没、墜落。
人生の大部分はそんなの。
無人島だと思ったのに奥にいけばバス通りがあったり、山岳地帯かと思えばロープウェイがあったりと、解決する過去は多かった。
だからこうして、孤島に自ら遊びに来るのはなんだか違和感。
「つまらない?」
「そんなことはないよ」
二泊三日の島生活。
愛を交わした恋人同士であるならば、それはとてもいい思い出になるだろう。
「でも、つまらなそうだよ。わたしつまらない?」
「君はつまらなくないよ。それだったら、あたしのほうがよっぽどつまらない」
何もないからこそ、外の世界に憧れた。
求めたものは結局手に入らなかった。
希望に満ちた世界ーーその旅で出会ったのが彼女。
手に入れたというなら、手に入れたかもしれない。
黙ってると、
「やっぱりつまらない?」
彼女は再び問う。
「今日しつこくない?」
「だって……」
もじもじと彼女はする。
「誘ってる?」
「違うよ。わたしはつまらないと自分を思ってるから」
どっちもどっちかもしれない。
「じゃぁ、楽しくしょうよ。他の人がいるからできないことをたくさんしよう」
「う、うん」
可愛らしい女性だと思う。あたしとは大違い。
身長だけが伸びて、他はまるで男のような存在。モテることなんてなかったけれど、彼女は違うんだろうな。
青春時代を一緒に過ごしたかった。
「不満そう。やっぱりつまらーー」
「なくないよ。そう思ったら、そうなっちゃうからさ、ホテル戻ろうか」
「泳がなくていいの?」
彼女は着てる水着を見る。
「まだ一日目だよ。焦らなくても海は逃げない」
「そ、そっか。じゃぁ」
手を差し伸べられる。
しっかりと掴み、ホテルがある方へと進んでく。
こういう何気ない世界が愛おしいだなんて、あたしも変わったものだな。
彼女という世界を手に入れられたのだから、これ以上の事件は求めない。
普通でいい。普通でいい。
至極当然の未来選択をさせてほしい。
それがきっと幸せにつながる……はずだから。
孤島いき バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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