好感度チートが思ってたのと違う

龍百

第1話

人は死に、そして魂となり転生する

しかし転生するまでの待ち時間の間魂を置いておく場所がある


それこそが天国

今俺が住んでいる国の名前だ


つまり俺は順番待ちの途中であり、その順番も相当遠かったと思うんだが…


『秋津幸之助、お前を転生させてやろう』

「…何で?ってかどゆこと?」


神の突拍子もない提案に、俺は生きていた頃の癖で有りもしない首を傾げる


『…まぁ、うん、私の異世界を救って欲しいのだ、何でもするから、頼むから』

「え?…まぁ聞くだけ聞いておきましょう、何をすれば良いんですか?」


天国も悪くはないがやはり地上は魅力的であり

俺は条件次第なら転生も悪くは無いと思っている


だからこそ、こうして俺は条件を聞いた訳だが…


『異世界が魔力不足で滅びそうだから救ってくれ!頼む!』

「…無茶では?」


凄まじく無茶な条件を前に速攻で諦める俺

これなら順番待った方が楽だわ


そう考えを改めるとさっきまでしていた日向ぼっこに戻るために寝転がり…


『いや!チートあげるから!そこを何とか!』

「…チート?何でも良いんですか?」


そして魅力的な条件をお出しされスッと立ち上がる


…ふむ、チートがあるなら話が変わってくる

チートさえあれば少し変わった人生も送れる


要するに期間限定キャンペーンと考えればそこまで悪くは無いと思う


『うん!何でもいい!マジで何でも良いんだよ!』

「え?じゃあ好感度チートで」


マジで何でも良いの?じゃあお試しキャンペーンくらいの感じで世界を救わない享楽チートで行くわ


『好き勝手生きる気満々じゃん!?』

「そりゃそうでしょ、何が嫌でそんな難しそうな問題を解決するんですか」


そうだそうだ!その問題解決はお前が思ってる以上に大変だし難しいんだぞ!


…と言っている俺も正確な難易度は知らないのだが


『…まぁ、いいよ、とりあえずは生きてるだけでも向こうの世界にとってはいい事だし』

「え?そうなの?」


『うん、だから別に好感度チートで生きてるだけでも良いよ』

「マジで!?じゃあ転生するする!」


『よし!じゃあ転生させるね〜』

「よっしゃ、好感度チートもあるし今世はウハウハだな!」


ーーー


この体に生まれてから数年

まだまだ俺は生まれ直したばかりだが…

俺は凄く悲しい、凄く…悲しい


みんな好感度チートって普通はさぁ…好感度が上がりやすくなるチートを想像するよね?


俺の好感度チートさぁ…人の好感度に応じたバフが乗るチートなんだよ


確かにバフの効果強いよ?チートだよ?

でもさ…好感度チートではさ、なくない?


ねぇ神様?分かっててやったよね…?

一応好感度チートとは言えなくもないけどさぁ…

思ってたのと…違う…!圧倒的に…!


俺は好き好き〜って言われる奴が良かった…!

美少女とイチャコラしたかった…!

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