第99話 そうだ、高崎高校に行こう!
そんなこんなで、今日の授業は終了した。
あの食堂での一件から、特に目立ったこともなく、それ以降は平和に終わることが出来た。
午後の授業中、先生から当てられるわけでもなかった俺は、綾奈のことを考えていた。
今朝、いつものT字路から高崎の最寄り駅が近くなるまでは笑顔だったのに電車を降りる前は悲しそうな顔をしてたな。やっぱりアレは、俺と別行動になるのを寂しがっていたから、なのかな?
それに昼休みの綾奈とのアレコレの質問攻めも相まって綾奈のことがいつも以上に頭から離れない。
綾奈に会いたいな。
高崎高校はもう放課後になったかな? 全国大会明けだから多分部活も休みだよな?
まぁ、部活があったら諦めるけど、ちょっと綾奈に聞いてみるか。
俺はズボンのポケットからスマホを取り出し、メッセージアプリを開いた。
電話にしようと思ったけど、もしまだ授業中だったらいけないし、俺も教室内で綾奈に電話をかけて、それでクラスメイトの注目を集めるのが嫌だった為にメッセージにした。
ちなみに一哉と健太郎は既に教室を出たあとだ。
【綾奈、今日部活ある?】
俺がメッセージを送ってから三分くらいで既読がつき、すぐさまメッセージが返ってきた。
【授業お疲れ様真人君。今週は部活はお休みだよ】
今週いっぱい部活は休みなのか。全国大会で金賞を取ったから麻里奈さんなりの労いなのかもしれないな。
【綾奈も授業お疲れ様。ところで今どこにいる?】
【ありがとう真人君♡ 今はホームルームが終わって教室でちぃちゃんや他のお友達とお話してるよ】
まだ教室にいるのか。これは好都合だ。
俺は綾奈に送るメッセージをフリック入力していく。
【ならさ、今から迎えに行くよ】
【へっ!?】
実は綾奈を迎えに高崎高校に行こうと、午後の授業を受けている時から考えていたのだ。理由は……おっと、綾奈から連続で返信が来た。相変わらず速いな。
【う、嬉しいけど、どうして急に?】
【実は、今日いつも以上に綾奈のことを考えていてさ、それで少しでも長く綾奈と一緒にいたいと思って迎えに行こうと考えたんだ。もちろん綾奈が嫌なら行かないけど……どうかな?】
高崎高校に迎えに行けば、それだけ長い時間綾奈と一緒にいることが出来る。付き合う前みたいに、高崎の最寄り駅で待ち合わせをすれば、それだけ綾奈に会えるまでの時間が短縮されるんだけど、合唱コンクール全国大会前日、サプライズで高崎に言った時みたいに、高崎の通学路を綾奈と歩いてみたいという思いがあったから提案してみたのだ。
【い、嫌なわけないよ!すごく嬉しい。じゃあ、待ってるから、気をつけて来てね】
綾奈からの返信を見て俺は口角を上げ、そしてすぐさま返信のメッセージを打ち込む。
【ありがとう綾奈。駅を出たらまた連絡するね】
【はい♡】
俺はスマホをポケットにしまうと、すぐに席を立ち移動を開始した。
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