第381話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その87

「結、相手はどんな人だった!?」

 夕飯を食べ終えた結は、自室で華からの電話を受け取っていた。 

「…それなんですが、間違いだと言われました」

 少し考えた後、結はそう答えた。

「…間違い!?」

「はい、あの手紙は私ではなく、私に似た名前の人へ出すためだったんです。緊張して、名前を間違えたまま私の靴箱に入れてしまった、と謝罪してくれました」

 結がこんな嘘をついた理由は、華を心配させたくなかったからだ。もし『水かけ強盗に襲われた』と知られたら、華はすぐに犯人を見つけるよう親に頼んで警察へ圧力をかけるだろう。

 さらに、成宮グループからボディガードを派遣して、朝と放課後の登校にぴったりとくっつくように護衛させるかもしれない。心配して守ろうとする気持ちは分かるし有り難いが、悪目立ちになるので正直、その気持ちだけで十分だった。

「なにそれ!?その人は誰なの!?」

「個人情報なので、教えるわけにはいきません。私はもう気にしていないので、その人を捜そうなど絶対にしないでください」

 結は念を押すように、後半の言葉を声が低くなるほど強く言い切った。こうして釘を刺しておかないと、華はまた勝手な行動をするからだ。

「華さんの方は、どうでしたか?」

「あ!うん!三組の子だったの!鳥山君がアルバイトしている喫茶店で話をしたわ!」

 その喫茶店は、結が襲われた公園とは離れた所にある。さらに聞くと、その子が「そこで話がしたい」と提案したらしい。

「結の良さをたっぷり話しておいたわ!明日、結に会わせてあげる!」

 ウキウキ顔になっていることが伝わってくる華の声に、結は「分かりました」と冷静な返事をした。

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