第296話 謎の美少女と、すぐ痩せるサプリ!? その②
「華さんは本当にスタイルがいいですね…」
太ってもいないが、痩せてもいない。平均的な自分の体型を見て結はため息をつく。
それに対し華は、同性も羨む抜群のプロポーションだ。ウエストも二の腕も足も細いし、出てほしいところはちゃんと出ている。肌と髪も綺麗なうえに顔も良い、とくれば、どう見ても華の方が「美人だ」と絶賛されるのだ。
だが結は華がこんなに綺麗なのは、毎日トレーニングとストレッチをしている事は分かっている。さらに大企業の令嬢である華は自社の成宮グループでエステを受けたり、栄養バランスがバッチリな食事を毎食とっているから、令嬢に相応しい美しさを手に入れることが出来るのだ。
結は小学生の頃からすでに、華のように華やかな美少女にはなれない、と悟っていた。なら、身だしなみはきちんと整えて、清潔感を出そう、と決めたのだ。
出来る限り肌も髪も手入れをし、運動もストレッチも欠かさずやる。華とは別の、自分で自信を持てるような外見の良さを手に入れたい、と思ったのだ。
ちなみに華との買い物を断ったのは、まだ去年の水着が着られたからだ。その水着は、体型をカバー出来るワンピース型の水着である。
「結ー!お風呂が沸いたわよー!」
廊下から聞こえてきた母の声に、結は「はーい!」と返事をした。
「霧島さん!」
月曜日の昼休み、図書室へ本を読みに行こうした結へ、黒髪のロングヘアの女生徒が声を掛けてきた。
「ああ…、貴女は」
長い前髪を、すべて耳の後ろへと流していたその女生徒の名札には『神崎 雫』と書かれていた。半袖のシャツの上に着た夏用の袖なしベストの左上の方に、芸術科の印が入った校章が刺繍されている。
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