第250話 成績を上げる意外な方法 その101
「…い、いいんですか!?」
酒井の母親も知っていたらしく、驚きと戸惑いが混ざった状態で聞いたきた。
「はい。実はお客様の都合で、数件の予約のキャンセルが出たんです。もしよろしければ、その時間帯でご相談ができます」
「ぜひお願いします!」
大黒柱である夫が入院してから、家計は苦しかったのだ。もしかしたら、何かいいアドバイスがもらえるかもしれない、と酒井の母親は縋りつく勢いで嘆願した。
「…あ、あの」
「どうしました?」
酒井の母親へ相談の予約の日を話した後、京川の母親がおずおずと声を出した。
「…うちも、相談できますか?塾代とか、教育のためのお金について…」
勉強をさせるためにお金をつぎ込んだため、このままだと大学の分を確保できないのでは、と不安になっていたのだ。
専門家から、お金についてのアドバイスがもらえるなら…、とつい京川の母親も声をあげたのだ。
「もちろん、お受けいたしますよ」
肩に下げていた小さなバッグから取り出したスマホで、スケジュールの確認をする。
「この日の、この時間帯でよろしいでしょうか?」
「ぜひお願いします!」
京川の母親も、すぐ申し込んだ。これで、お金の悩みから解放される、と言わんばかりの顔で。
その後、作高の両親は「明日朝一番に学校へ行きます」と宣言した後、そこでいったん話し合いは終了となり、それぞれの家族は家へ帰り始めたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます