第213話 成績を上げる意外な方法 その64

「…酒井さんも、助けてくれるの…?」

 代わりに塾へ行く事を提案したのは、酒井だ。場合によっては酒井の方が酷く責められる可能性が高い。

 悪い事を実行させた酒井が許されるという保証がない、と京川は不安に思っていた。

「酒井さんがそうしたのは、京川さんを休ませるためです。このままでは、お父さんのように京川さんが倒れてしまう。そう思われたから、何が何でも助けるためにとった行動だった、と私からお話しします」

 それを聞いた京川は『酒井さんまで助けてくれるんだ!』と信じられるようになった。さらに塾長が『困っている生徒を助けるのは当たり前』という考えの持ち主なら、酒井をやたらと責めたりしないかもしれない。

「京川さんと酒井さんが正直に話してくだされば、もう作高さんの思い通りにはなりません。私も力を貸しますから、お二人から事情を話してください」

 勇気づけるような結の言葉に、京川と酒井は顔を合わせる。自分達は誰も頼れない、と思っていたが今ここに味方になってくれる人が現れたのだ。

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