第161話 成績を上げる意外な方法 その⑫
「もし無理やり勉強させるのなら、教育虐待としてこちらもそれ相応の処置をとります!ですから、今日一日お嬢さんを休ませてください!!」
「…虐待だと!?」
予想もしなかった言葉に、父親はさすがに一瞬たじろいだ。
「…そんな、大げさな」
母親もうろたえるが、浅野先生はさらに強い意志で言い続ける。
「この学校は、生徒の心と体を守るためなら全力で立ち向かいます!それは保護者であっても、同じです!」
本気で京川の体を気遣う浅野先生を見て、京川の両親は何も反論できなかった。
「…分かりました」
これ以上は面倒だ、という顔で父親は仕方なく承諾した。
「理香子、帰りましょう」
母親も早く家へ帰らなければ、というそぶりを見せる。
「あの、これは京川さんの鞄です」
コピーを取った後、田川がついでに教室から持ってきてくれた京川の分厚い学生鞄を差し出した。
「あら、ありがとね」
結から差し出された鞄を、母親が代わりに受け取る。
父親は結に対して礼を言わず、先に保健室から出て行った。
「…すみません、父が」
ベッドから出て、結の横を通り過ぎる時に京川がうつむきながら謝った。
「お体、大事にしてくださいね」
結は嫌な顔をせずに、逆に京川へ優しい声をかけた。
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