第117話 傷つける友人、助ける他人 その55
「何なの!?これ!!」
悲鳴を上げながら、杉村は終野へ叫ぶ。
「あーこれね、お揃いの下着も欲しかったから、どんなのか、知りたかったの」
同じ物を揃えるために、盗撮をした。あっけらかんに話す終野へ、竹町だけでなく杉村も血の気が引いた。
おそらく、泊まる部屋に撮影できる状態でスマホを仕掛けておいたのだろう。平気でそんなことをする終野に、杉村は嫌悪感を抱き始めたのだ。
「…そこまでする!?」
いくら友達でも、着替えを隠し撮りされていたら凄く嫌な気分になる。杉村は、もう信じられない!という顔になっていた。
「この写真を使って、竹町さんを脅していたのですね」
すでに事情を知っていた結は、終野の非常識さに対しても冷静な口調だった。
「だってえ、今藍ちゃんに近づいちゃあダメ!って言われてるんだもん!だったら、竹町さんに代わりにやってもらおう!と思いついたから!」
終野がそう思いついたのは、昨日ボランティアで街中の美術館まで来た時だった。偶然、美術館から出てきた竹町を見て、つい声をかけたのだ。
竹町はまだ終野を覚えていたので、つい反応してそのまま少し話をした。その時の竹町の反応を見て、終野は『あの写真を見せれば、言う事を聞いてくれる』と確信
したのだ。
竹町が同じ高校に居ることは、特別室までスケッチに来ていたところを見たので、確認済みだ。それで終野はボランティアが終わった後の自室で、強引に交換した連
絡先から、竹町へ指示を出したのだ。
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