7月7日、乙姫様に会いに・・・

アオヤ

第1話

この物語りには実在する場所が一部出てきますが、全て私の妄想であり架空の物語りです。


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7月7日の蒸し暑い朝、俺はいつもの様に大通りの交差点にあるコンビニで甘ったるそうなメロンパンを買った。


『メロンパンは安くて美味いんだな! 』

中学の時、担任がよくそんな事言っていた。

その時はその言葉を疑っていたが、一口食べて俺はハマった。


そして今日もいつもの様に買ってしまった。

多分レジのお姉さんは『この人また買ってるよ』なんて思ってるかもしれない。


自動ドアが開いて表に出ると外の喫煙用灰皿のすぐ隣で色の白い女の子が突っ立ってスマホをいじっている。

その女の子は膝上くらいの白いワンピースを着てチョットだけ涼しそうに見えた。

『もう夏なんだな』なんて思った。


なんとなく気になってチラチラ女の子を見ていたら、その女の子の足下に猫が擦り寄って来た。


俺は交差点で信号が変わるのを待っていたら・・・

その女の子はんで猫をなで始めた。

膝上のスカートなのに・・・


俺は何か言った方が良いのか無視した方が良いのか悩んだ。

でも、ここで俺が絡むとどっちにしても変な目で見られそうで動く事が出来ない。


赤信号で止まっている車の運転手が、その女の子の事をチラチラ見ているのが伺える。

俺だって気になり女の子をチラチラ見ているんだから他人ヒトの事は言えないが・・・

哀しい男の嵯峨サガってやつだと勘弁して欲しい。


信号が変わった様なので気になる女の子をチラチラ見ながらも、煩悩を振り切り一歩を踏み出した。

その途端に頭に激痛がはしり、俺の頭の中で火花が散った。

そしてその場で俺は倒れてしまったみたいだ。


俺は気を失って居たみたいだが、おでこが痛くて気がついた。

なんだか花畑に居るみたいな匂いの中で俺は瞼を開けた。

俺のおでこにはでっかいタンコブが出来ていて・・・

さっきの女の子が俺のおでこを濡らしたハンカチで冷している。

そのハンカチはフローラルな香りがしてまるで花畑に居るみたいな気分になった。

心配そうに女の子が俺の事をジッと見つめて居てドキドキしてきた。


「あの・・・? 俺・・・ ありがとうございます。」

やっと言葉になった。


「スゴイ音しましたけど大丈夫ですか? 」


「ハイ、大丈夫だと思います。」


そして女の子の唇が微かに動いた。

「あの〜 覗いたりしてませんよね?」


彼女に急に言われて俺はドキッとする。

「いえ、そんなこと絶対に・・・」

俺は自分のやましい気持ちを必死に否定した。


「本当に大丈夫ですか? 頭を打ってるんですから気をつけてください。ところでアナタの好きな色って何色なんですか? 」


彼女から不意に質問されて答えが見つからず・・・ 

「白が好きです。」って答えてしまった。


彼女は顔を紅くして「エッチ」って向こうに歩いて行ってしまった。


・・・あっハンカチ返さなきゃ!

そう思った時には彼女は見えなくなっていた。

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