新たな生贄
「日菜姉」
「ん?こうちゃん、終わったの?」
孝介がキッチンに行くと
そこには、日菜姉がいた。
甘い香りがすることから、
お菓子を作っていたのだろう。
「うん、終わったよ
まぁ一週間に一度は、
来なくちゃいけなくなったけど」
「そうなんだ、あっ洗い物はもらうよ」
「…ありがとう」
孝介は、手に持っていた食器類を
日菜姉に渡す。
日菜姉は、受け取った食器を
鼻歌を歌いながら洗い始めた。
「…ご機嫌だね」
「そう?
まぁ週一で確実にこうちゃんに
会えるからかな〜」
「いやっ日菜姉に会いに来るわけじゃないし
バイトで会ってるでしょ?」
「それとこれと別なの!!
…はい!洗い物終わりっと」
「こうちゃん、この後どうする?」
「うん?…今日は、帰るよ疲れたし」
「そう、ならこれ持っていって」
そう言って、
きれいにラッピングされた袋を渡してきた。
中を見ると色々な種類のクッキーが入っていた。
「暇だったから作ったのよければ食べて?」
「ありがとう日菜姉、
でも暇って…「あっ!チャイムだ!」」
日菜は、孝介の会話を打ち切り
チャイムの音にすぐに
反応して玄関に向かった。
「……逃げたな」
「こうちゃーん!!」
「ん?」
玄関に向かった日菜姉が大声で
自分の名前を呼ぶ。
なんだ?なんだ?と
玄関に向かうとそこには、
「あれ?雪弘先輩こんにちは」
「ああ、孝介」
雪弘先輩が、大きな袋を持って
立っていた。
「あっこうちゃん、
お母さん呼んで来てくれない?」
「詩織さんを?わかった」
「…その必要はないわ」
後ろを見ると詩織さんが歩いて来た。
「雪弘くんお疲れ様、
シスターからでしょ?」
「ええ、それでこれは」
「ああ、自分が」
孝介が受け取ろうとすると
「ああ孝介くんいいわよ」
と詩織さんが止める。
「えっでも」
「雪弘くん、この後暇?」
「え?とくには………あっいや!
やっぱりありました!!」
途中で気づいた雪弘先輩が逃げようと
言い訳を言うが、
ガシッ!!
といつのまにか雪弘先輩に、近づいていた
詩織さんが先輩の肩を掴む
「嘘ね、私知ってるのよシスターに
確認してたから、
と言う事でお話ししましょ?」
「なっ!シスター裏切ったな!」
「はいはいじゃ行きましょう〜」
「えっいや、日菜、孝介見てないで
助けてくれ!おっおい!
何故二人とも目を背ける!?
こっ孝介」
「……先輩、俺三時間でした。」
「はっ?三時間?
……それって、まっまて孝介!!」
「孝介ーー!!」
雪弘先輩は、抵抗虚しく
詩織さんに引きずられて行った。
「………」
「………」
「………こうちゃん」
「……何?」
「天体観測の日、来るよね?」
「…うん、参加するよ」
「…わかった
後で連絡するね」
「…ん」
「それじゃ…帰る?」
「……………うん」
孝介は、日菜姉に別れを告げ
いつもより足早に帰路に着いた。
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