孝介と距離感

最近、鈴先輩と日菜姉の距離感がおかしい


「あの……鈴さん」


「何?こうくん」


朝、学校に行こうと玄関を開けると

そこには制服の鈴先輩が立っていた


いつもは、鈴先輩は早めに学校に向かう為

登校時会うことは無いのだが

最近何故か同じ時間になる


最初は、偶然だと思ったが

それが毎日ともなると不審に思う


「いやあの最近よく登校一緒になるな〜って」


鈴は、どこか怪しげな微笑みをする


「フフ…

 …取り敢えず行こう?」


「はっ…はい」


孝介と鈴は、一緒に学校へ向かう


「それで、……あの」


「登校が一緒になる理由?

 簡単、君といたいから」


ドキッ

「えっ!?」


鈴先輩の言葉に動揺してしまった

ただそれを鈴先輩は、

違う意味にとらえてしまったようで悲しい顔をする


「……嫌なら言ってね」


「いや!そんなことは!!

 ただ他の生徒が見たら」


実際は、もうすでに何回か

登下校を見られている為今更だが


「他の人間なんか関係ないよ

 これは、私とこうくんの話なんだから

 でしょ?」


「…はい」


「うん理解してくれたみたいだね、

 じゃ行こうか」



その後毎日、二人で登校する事になった

       ・

       ・

       ・

休み時間 教室


「お〜い、こうちゃん!!」


その声がする方向を振り向くと

日菜が立っていた


(ちょっと何やってるの!!)


クラスメイトが全員こちらを見る

孝介は、急いで日菜の方へ向かう


「日菜姉どうしたの休み時間に」


「ふっふっふ、はいこれあげる」


日菜姉から差し出されたのは、

小さな袋だった


「何これ?」


「クッキー、今さっき調理実習で作ったの

 だからあげる」


袋を受け取り中を見ると確かにクッキーだった


「本当にいいの?」


「いいに決まってるじゃん

 こうちゃんの為に作ったんだから」


ありがとうと返事をしようとした時気付く

ここが教室である事を


ざわざわ

ー会長の手料理だと!!

ーそれに会長何処か顔が赤いし

ーあれ?…今日どのクラスも調理実習なかったはず?


やっやばい、嫉妬の視線が俺の背中に

びしびしと伝わる

やっぱり今貰うのは、

不味いと思い一旦返そうと


「ひっ日菜姉、嬉しいんだけどさ

 あっあのあとムグッ」


突然口の中に何か入れられた


「もぐもぐ…これ」


何かと思ったらチョコレートの味がした


「ニヒ、どう美味しい?」


と言いながらクッキーの粉が付いているのだろう指をペロッと舐めていて、

目が離せなかった


「こうちゃん?」


ドキッ

(なっ何を考えてるんだ、日菜姉に)


「いっいや」


「ふーん、まぁいっかそれじゃ行くね

 あっ、ちゃんとプレーンとチョコレート

 2種類あるから食べてね」


そう言い残すと自分の教室に戻っていった



たかなる胸を抑える

……ハァ、何だよこれ








 

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