沈丁花~永遠の生

あいすまん

第1話 この世界の現状

この世界は不公平だ。

10年程前、急に現れたゾンビにより町は壊され人は喰われ引き裂かれ、殺される。ゾンビにより畑や家畜なども襲われ、餓死する人も多かった。


そんな中、安全な土地で作物・家畜を育て高い金額で売りつける富豪層が金で支配していた。



時は流れ、10年経っても現状は改善されず。

ゾンビは増え作物は枯れ果て、金がない者の生きていく為の選択肢は少なかった。



一つは富豪層の元、奴隷のように働き衣食住を手に入れること。

二つ目はゾンビを倒す戦闘員養成学校に入学することだった。


戦闘員養成学校では生きるのにかかるお金は必要ない。

衣食住を保証される代わりに卒業後は政府の元、ゾンビを倒し市民を守る仕事に就かなければいけなかった。


16歳から20歳までしか入学できず、それ以外の者は富豪層の元で働くしかない。


そのため、倍率は高く入学できる人数は限られていた。


俺は母と12歳の妹を持つ16歳の男 「アルト」 だ。


俺は見事! 戦闘員養成学校に合格し今日は母と妹 「タツナ」 とお別れする日が来た。


母「大丈夫かねぇアルト。なんであんたが合格できたのか不思議だわぁ。」


タツナ「お兄ちゃん体だけは丈夫だから心配ないよ~。」


「そうそう!学校卒業出来たら給料も入るし、二人に楽させてあげるから待っててね」


最低限の荷物だけカバンに入れ俺は

「じゃあ、行ってきます!」


家族と別れを告げ、学校に向かった。


ゾンビに荒らされて崩壊した町、瓦礫に押しつぶされ助け出してもらえずそのまま白骨化した人。

今にも死にそうに頬がこけ、骨が浮き出してる人。


ゾンビが出る前の日常とは天と地ほどの差があった。



今は、あらゆる場所で人が死んでいる。



俺たち家族の場合半年前まで父親が金持ちの家で働いていたので仕送りをしてもらい今まで生き延びてこれた。


その父もこの半年連絡がつかず、仕送りも途切れ細々とした生活を送っていた。

他人を助ける余裕などなく、働き口がないと生き続けることは難しかった。


そうこうしていると綺麗な道が現れ、大きい壁が見えた。


「ここが戦闘員養成学校。」


高く分厚い壁に守られていて、その奥に学校の屋根が見えている。

圧巻だ。


?「すげぇなこれ。どうやって入るんだ?」


(!!ビックリした。)


後ろに立っていた男の人に急に喋りかけられた。


でも確かに、見渡す限り入り口はなさそうだった。



「・・・あそこに守衛さんらしき人がいるから聞いてみましょう」


男の人にそう答えて彼のほうを見た。

白いふわふわした髪の毛に高い鼻。

キリッとした目に180㎝はあるであろう世間で言うイケメンが立っていた。


?「そうだな。」


名前も知らない男の人と守衛さんの元に向かった。


守衛「こんにちは。戦闘員養成学校へようこそ。君たちの名前を教えてくれるかな?」


「アルトです!よろしくお願いします!」


ヒイラギ「ヒイラギです。お願いします。」


(この人 「ヒイラギ」 って言うのか)


守衛「アルト君とヒイラギ君だね。・・・うん確認とれたよ。案内するからついておいでね」


そう言われて着いていった。











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