不審で不思議で好きな人(花園視点)
「あっおはよう秋ちゃん」
「…おはよう春ちゃん」
教室に入って来た私に
親友である
いつもの様に話しかけて来た。
人見知りでクラスメイトのみんなと
打ち解けられなかった私を助けてくれた
大切な友人だ。
「ん?どうしたの」
「何が?」
「だって顔が赤いよ?」
春ちゃんに指摘されて自分がまだ顔を赤くなっているのに気づく。
「…今日は、寒かったから」
「えぇ?今日は、朝から暖かいよ」
うぅ…誤魔化されないか
春ちゃん…鋭いからな…。
そう思いながら自分の席に座る。
「…ちょっとあって」
「もしかして、例の男の子?」
私は、誤魔化せないと無言でこくりと肯定する。
「そっか…それで今日は、なんて言われたの?」
「あの彼が農業クラブ?の副会長になったらしくて」
「うんうん」
「それで挨拶運動とかで忙しそうだったから
私、忙しかったら当番とかも来なくていいよって言ったの」
私の言葉に春ちゃんが驚く。
「何でそんなこと言ったの?
秋ちゃん彼と会うの楽しみにしてたじゃん」
「でも…彼の重荷になりたくなくて」
「重荷って、そんな事ないと思うし
それも織り込み済みで
彼は、副会長になったんでしょ?」
「それは、わからないでも…ね
当番には、絶対いくって
あなたといるのが楽しいって
言ってくれたの」
副会長も辞めるって言ってくれたのは、
黙ってていいよね。
「へぇ〜そんなこと言ってくれたんだ
よかったね」
「うん」
「でもそこまで言ってくれるなんて、
よほど秋ちゃんの事好きなんだね」
「!!…それなら…いいな」
花園のいつもと違う反応に美春は驚く
いつもならそんな事はないと否定するのに
…もしかして?
「秋ちゃんもしかして…好きになったの?」
「……うん」
そう返事した瞬間チャイムの音が鳴り
先生が入ってくる。
春ちゃんは、続きを聞きたそうにしながらも名残惜しそうに席に戻って行った。
…柿崎幸紀くん。
最初は、ちょっと不審な感じがして怖かった。だって教室のドアの前で無言でこちらを見てたんだもん。
その後、図書委員として一緒に仕事する様になって、おどおどしたり急にドキドキする言葉を言ったりコロコロ印象が変わる不思議な男子だと思っていつの間にか目で追ってしまう存在になっていた。
そして、
『好きなの?』
あの時、会長と呼ばれていた女の先輩から
言われた言葉で…
花園は、自分のドキドキ高鳴る胸に触れる。
私は、「幸紀くん…好きです」
自分の恋心に気づいた。
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