15 死霊使いナターシャ


「見事な新技だったよ、シュナイド」


 私は彼に声をかけた。


「あなたにそう言っていただけるなら、新たな技を開発した甲斐がある」


 シュナイドは嬉しそうに答える。


「……なるほど、三人とも大したものね」


 ナターシャが言った。


「次は私の力をお見せするわ」




 さらに私たちは進んだ。


 道中は苦戦ゼロ。


 あっけないほどである。

 本来なら、この塔の攻略はかなりの難易度のはずだが、そろったメンバーがそれだけ粒ぞろいということだろう。


「どう、ガーラ。私だってやるでしょう! 今のところ撃破数は私がトップよ」

「待て、撃破数ならどう考えても俺が一位だろう」

「ふふーん。私の方が三体多いもん」

「む……そんなはずは」

「あんた、ちゃんと数えてた?」

「い、いや、なんとなくだが……」

「私はちゃんと数えてるから」

「むむむ……参った」

「なんのなんの」


 妙に和気あいあいとしている。


 アリスにしろ、シュナイドにしろ、武術大会で見たときよりも、一回り成長したように感じる。


 あれからわずかな時間しか経っていないが、若者はあっという間に成長していくものだ。


 私は感慨深い気持ちで二人の戦いぶりを見つめた。


 もちろんナターシャや他の魔術師たちも負けてはいない。

 私の出番がほとんどないまま、40Fに続く階段の前まで来た。


 予想通り、ここにもフロアボスがいる。


 今度は巨大な虎のモンスターだった。

 全身が雪のように白い。


 白虎びゃっこだ。


「では、予告通り私がいかせてもらうわね」


 ナターシャが前に出た。


 彼女は杖を使わないようだ。

 いくつも指輪をはめた両手を踊りのようにくねらせながら、白虎と対峙する。


「死霊使いの力、見せてあげましょう――」

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