18 武神と二人の魔族
「我らは『
小柄な魔族が言った。
「俺はラシェル、こっちの短気な奴はガリオンだ」
ラーガード――。
それはウィナス王国の武術大会で出会った魔族バシューレが仕える主の名前だ。
その尖兵がやって来た、ということか。
「私はガーラ。一介の武闘家だ」
「こんな子どもが武闘家か」
ラシェルがつぶやく。
馬鹿にした様子はなかった。
私の一挙手一投足を見据えるような視線――。
相手が誰であれ、警戒は怠らないタイプだろう。
「とりあえず死ねや」
一方のガリオンは私が子どもだと甘く見ている様子だった。
ボッ!
指先から黒い魔力弾を放つ。
私はそれをなんなく蹴り返した。
「なっ……!?」
驚いたようなガリオンの顔面に魔力弾が命中する。
「て、てめぇ……?」
「油断しすぎだな、君は」
「油断しすぎだ、ガリオン」
私とラシェルの言葉が重なった。
「舐めやがって……許さねぇぞ、ガキ!」
ガリオンが怒りの声を上げる。
その全身が黒い魔力のオーラに包まれた。
今度は全力で来るつもりだろう。
私はそれを迎撃すべく身構える。
と、
「待て、我が国への脅威なら、まず我らが対処するのが道理!」
現れたのは黒いローブの上から軽装鎧をまとった一団だった。
「君たちは――」
「キラル王国魔法戦団」
先頭にいるのは以前に出会った美女――カタリナだ。
私とトラブルになった自称『若きエース』、ミルドレッドもいる。
噂に名高いキラル王国魔法戦団がそろうと、さすがに壮観だった。
「魔法戦団、総員呪文詠唱開始!」
カタリナが叫んだ。
それから左右に控える男女に声をかける。
「ミルドレッド、ラッツェ! 私に後れを取るな!」
「エースである俺の力,見せてやるぜぇっ!」
「了解です、団長!」
ミルドレッドの顔は知っているが、ラッツェと呼ばれた少女の方は初めて見る。
雰囲気からして、おそらくミルドレッドと同格くらいの魔術師だろう。
魔法戦団の最精鋭が出向いてきた、ということか――。
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